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アフガニスタンの「女性の人権」をどう考えるか

タリバンだけが「悪」なのか、複雑な歴史を総合的に考える必要性

清末愛砂 室蘭工業大学大学院教授(憲法学、家族法、アフガニスタンのジェンダーに基づく暴力)

アフガニスタンで展開されてきた女性運動

 アフガニスタンには、1970年代後半から女性の権利や自由を果敢に求め続けてきたRAWA(アフガニスタン女性革命協会、※4) のような独立した女性団体がある。

 ※4:RAWAの設立経過や活動の詳細に関しては、清末愛砂『ペンとミシンとヴァイオリン アフガン難民の抵抗と民主化への道』(寿郎社、2020年)、清末愛砂・前田朗・桐生佳子『平和とジェンダー正義を求めて アフガニスタンに希望の灯火を』(耕文社、2019年)等を参照されたい。

 RAWAは国際的な女性運動の世界では大変著名な団体である。

拡大アフガニスタン北東部の都市を歩くブルカを着た女性たち=2001年10月撮影
 旧タリバン政権下では表に出て抗議行動をするといった目につきやすい活動はできなかったが、例えば夫を殺害した女性の公開処刑や道端でタリバン兵が女性を殴打している様子を秘密裏に撮影し(ブルカの着用義務を逆利用して撮影)、猛烈な危険を冒して海外に映像を持ち出して人権侵害を告発したり、家を利用して女児のための秘密の学校を開校したりする等、可能な限りの活動をしていた。

 RAWAは、2001年当時から現在にいたるまで一貫して、軍事攻撃は解決の手段にはならないことを強く主張し続けてきた。

 一方、タリバン側も孤立の再来を避けるためか、予想される国際社会による懸念を念頭に8月17日に行われた最初の公式記者会見の場で、女性の人権については「シャリーア(イスラム法)の範囲内で尊重する」と述べた。

 それが具体的な施策としていったい何を意味しているのか、またそれらがどのように履行されていくのか、という点については、現時点では全体としては不確定要素も多く、見通しも含め包括的判断は難しい。

 その前兆にあたるかもしれない数々の出来事(例えば、女性の権利や自由を求めるデモに対する暴力的・威圧的な態度、女性の職場復帰の困難さ、大学で学ぶ女子学生へのヘジャーブの着用義務等)が起きているのも確かである。

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筆者

清末愛砂

清末愛砂(きよすえ・あいさ) 室蘭工業大学大学院教授(憲法学、家族法、アフガニスタンのジェンダーに基づく暴力)

1972年生まれ。「RAWA(アフガニスタン女性革命協会)と連帯する会」共同代表。著書に『北海道で考える〈平和〉―歴史的視点から現代と未来を探る』(共編著、法律文化社、2021年)、『ペンとミシンとヴァイオリン―アフガン難民の抵抗と民主化への道』(寿郎社、2020年)、『《世界》がここを忘れても―アフガン女性・ファルザーナの物語』(文・清末愛砂、絵・久保田桂子、寿郎社、2020年)、『平和とジェンダー正義を求めて-アフガニスタンに希望の灯火を』(共編著、耕文社、2019年)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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