松下秀雄(まつした・ひでお) 「論座」編集長
1964年、大阪生まれ。89年、朝日新聞社に入社。政治部で首相官邸、与党、野党、外務省、財務省などを担当し、デスクや論説委員、編集委員を経て、2020年4月から言論サイト「論座」副編集長、10月から編集長。女性や若者、様々なマイノリティーの政治参加や、憲法、憲法改正国民投票などに関心をもち、取材・執筆している。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
争点は自分で探すもの。「民主主義」実現の鍵は、私たち一人ひとりの手の中にある
「チェックリスト」の質問をみれば、若者や女性、障がいのある人、外国籍の人など、多様な人たちの関心事が載っている。
「高等教育の無償化を目指し、学費の大幅引き下げに取り組みますか?」
「出産費用の保険適用を実現しますか?」
「障害者総合支援法第7条の介護保険優先原則の廃止が必要だと考えますか?」
「入管収容施設で行われている、送還前提の長期・無期限収容をやめますか?」
発起人のひとりで、入管問題にとりくむ「#FREEUSHIKU」の長島結さんはこう語る。
「私はたまたま日本国籍をもって生まれたので、投票する権利をもっている。でも、どんなに望んでもいまのところ投票することがかなわない人たちもおおぜい、この国のそこかしこで生きています。そういう人たちに『出ていけ』といって追い出す国のままでこの先もいるのか。それともみんなで手をとりあって、ともに生きるのか。今回の選挙で、とくに問われていることです」
やはり発起人の馬奈木厳太郎弁護士は、「チェックリスト」の質問づくりは「自分たち自身で今度の選挙の争点を探す作業だった」と振り返る。
自分たち自身で選挙の争点を探す。大切なことは、この点だろう。政治家も、ジャーナリズムに携わる者もふくめ、この国に暮らす一人ひとりが政治や社会のあり方を見つめ、自分にとっての争点を探す。それを試みるか否かが、選挙を意味あるものにできるかどうかの分かれ目になる。
ファッションの仕事に携わり、地球環境問題にとりくむ発起人、eriさんは「日本では長いこと、政治の話をするのはタブーとされてきた。自分の1票なんて意味がない、どうせ変わらないなら黙って諦めるというムードが蔓延しています」と指摘する。その結果、政府は「私たちの声に耳をふさぎ、無視し、まるで存在しないかのようにふるまう」ようになっているというのである。
この発言は、政治と民主主義の本質
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