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新型ウイルスが繰り返し発生する中国 日本の対応は?~上昌広氏に聞く

コロナ対策徹底批判【第一部】~上昌広・医療ガバナンス研究所理事長インタビュー③

佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

 様々な問題を抱える日本のコロナ対策について、上昌広・医療ガバナンス研究所理事長へのインタビューを通じて考える連載企画「コロナ対策徹底批判」。前々回「ウイルス研究所から流出?動物から人へ? 新型コロナの起源は」、前回「遺伝子組み換えウイルスによるパンデミックはあり得ない」に続く第3回は、新型コロナウイルスが発生した中国と日本はどう向き合うべきかを考える。

 今回のコロナ禍から日本が本当に学ぶべきは、感染症が起こりやすい「家畜大国」中国がすぐ隣にあるという地政学的な現実を冷静に受け止め、その中国と科学的な交流をもっと積極的に進めるということだ。米国をはじめとする欧米の国々は着々と手を打っている。これに対し、日本は第2次安倍晋三政権以来、政治経済面だけでなく、科学面でも中国との交流が激減した。これでいいのか――。上さんが鳴らす警鐘は重い。

拡大上昌広・医療ガバナンス研究所理事長

リアリティーがない日本の感染症対策

――新型コロナウイルスはどこから出てきたのか。ここまでの上さんの説明によると、武漢のウイルス研究所からではなく、中国のどこか自然の地点からというのが、世界の医学界・科学界のコンセンサスだということですね。(参考:上昌広・医療ガバナンス研究所理事長インタビュー①上昌広・医療ガバナンス研究所理事長インタビュー②

 バイデン米政権が改めて情報機関の報告書を求めたのは、対中国強硬派の主張を鎮めるための政治的ポーズだった可能性が強いと思います。しかしその米国も、ウイルス研究に関する科学界の動きは、中国との連携を何とか繋ぎとめようという方向にいっています。

――政治は政治、科学は科学という姿勢ですよね。日本に足りないのはそういう態度。つまり、中国と何とか科学的なネットワークを繋いでいくという根本的な姿勢ですよね。

 そうなんです。日本の感染症対策にはそういうリアリティーがないんです。ウイルス対策の専門家会議を作るのであれば、中国現地にラボ(研究所)を持っていた岩本愛吉さんを入れるべきだったんです。岩本さんは日本感染症学会の理事長だったし、東大医科学研究所の教授でもある。そして中国現地にラボを持っている。中国にラボを持っているということは電話一本で中国の科学者と話がつながるということですよ。

――今でもラボを持ってらっしゃるんですか。

 今はもう退官していますが、当時の中国の教え子は今や教授でしょう。電話一本でつながるというのは一番いい関係です。1974年に東大医学部を卒業していますから70歳を越えたぐらいでしょう。AMED(日本医療研究開発機構)の戦略推進部長なんかもやられていましたから政府関係の仕事もされているんです。

 岩本さんなら、いつでもコロナ関係の政府会議に入って力を発揮できたはずです。しかし、そうはならなかった。厚労省の医系技官たちは知恵が回らないんです。コロナ対策をどう展開したらいいのかというリアリティーがない。

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筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。最近著に『職業政治家 小沢一郎』(朝日新聞出版)。その他の著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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