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「親ガチャ」「国ガチャ」「性別ガチャ」……この不平等社会でできること

藏重優姫 韓国舞踊講師、仁荷工業専門大学語学教養学科助教授

人生は「ガチャ」であふれているのか……

 最近、「親ガチャ」という言葉を知った。親を選べないことを皮肉っている。そう、我々は「国ガチャ」「性別ガチャ」「健康ガチャ」……キリがないほど人生は「ガチャ」であふれているのかもしれない。つまり、この世はもともと不平等である、というところから議論を始め、そして、この不平等をどうにか是正することができるから、人間は素晴らしいと考えるべきだ。

JS14/Shutterstock.com拡大JS14/Shutterstock.com

 コロナ禍で皆が感じた格差社会。これをどうするかは、有権者の1票にかかっている。だが、日本の議員内閣制(間接選挙)は、政治というものを遠く感じさせてしまう。一方で韓国の若者は、もう少し1票の「強さ」を知っている。自分の1票で大統領さえ選べる、という直接選挙だ。

 例えば、前回は、「共に民主党」のムン・ジェインに投票したが、不動産をはじめとする経済政策が気に入らないから、今度は反対勢力の「国民の力」に入れるという若者がいる。気に入らなければ、政治家を降ろそうとする。いや、降ろすことができると知っている。日本で、政治は自分たちの手にあると考える若者はどれほどいるだろう。

 半面、韓国は新たな問題も抱える。降ろせるからこそ、フェイクニュースや、事件自体をでっち上げ、大物政治家、官僚までも降ろしてしまうことがある。これもまた恐ろしい事実だが。

 日本も韓国も似ている。根本的に資源の乏しい小さな領土で民の努力でなんとか先進国に発展した。だが、先進国や富裕層は、貧しい人たちに富を分配し、不平等を改善してこそ、民主主義が保たれるということを、もっと自覚せねばならない。青少年の自殺率が高いのも日本と韓国は似ている。これは、能力主義に走り、どんな問題も自己責任とする風潮が蔓延している証拠だ。

 貧しい人がいるのは、社会の責任であり、その社会は自分たちの1票で作れるという自覚が必要だと思う。巷では民主主義や政治を語らなくなって久しいが、コロナ禍のような有事を経験した今こそ政治を語るチャンスなのだ。

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筆者

藏重優姫

藏重優姫(くらしげ・うひ) 韓国舞踊講師、仁荷工業専門大学語学教養学科助教授

日本人の父と在日コリアン2世の間に生まれる。3歳からバレエ、10歳から韓国舞踊を始め、現在は韓国にて「多文化家庭」の子どもを中心に韓国舞踊を教えている。大阪教育大学在学中、韓国舞踊にさらに没頭し、韓国留学を決意する。政府招請奨学生としてソウル大学教育学部修士課程にて教育人類学を専攻する傍ら、韓国で舞台活動を行う。現在、韓国在住。日々の生活は、二児の子育て、日本語講師、多文化家庭バドミントンクラブの雑用係、韓国舞踊の先生と、キリキリ舞いの生活である。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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