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外交・安保政策から観た総選挙~安倍路線継承の自民、「共闘」野党の立ち位置は

櫻田淳 東洋学園大学教授

日本型「左翼・リベラル」と「憲法第9条護憲主義」

 むしろ筆者が注目しているのは、野党の動向である。就中(なかんづく)、立憲民主党と共産党を軸にした「共闘」は、どのような成果を生むのであろうか。この「共闘」の行方は日本型「左翼・リベラル」政治勢力の命脈に関わっている。

 日本型「左派・リベラル」政治勢力の特徴の一つは、「憲法第9条護憲主義」と呼ぶべきものへの帰依である。それは、冷戦期には自衛隊や日米安保体制へのネガティヴな評価に反映され、冷戦後には小沢一郎(衆議院議員)が「普通の国」と呼んだものに日本が脱皮することを妨げてきた。今次総選挙に際しての「野党共闘」の成否は、政治言語としての「憲法第9条護憲主義」に影響を与えるであろう。

 無論、立憲民主党が発表した『立憲民主党政策集2021』には、「健全な日米同盟を外交・安全保障の基軸に、わが国周辺の安全保障環境を直視し、専守防衛に徹した防衛力を着実に整備し、国民の生命・財産、領土・領海・領空を守ります」と記されている。「基軸として日米同盟」という点では、既に与野党を超えた合意が出来上がっているという評は、成り立つかもしれない。

 ただし、現今の国際政治環境の下では、「基軸として日米同盟」は、当然の前提であって、それを確認すること自体に何らかの政策上の意義があるわけではない。問われているのは、「基軸として日米同盟」の上で何を行うのかということである。

拡大市民グループの集会で衆院選での支持を訴える立憲民主党の枝野幸男代表=2021年10月23日、東京都新宿区

日本外交は西側諸国との同盟の中で追求すべき

 ジョセフ・R・バイデン(米国大統領)によって次期駐日大使に指名されたラーム・エマニュエル(バラク・H・オバマ政権時、大統領首席補佐官)は、連邦議会上院外交委員会公聴会での所信表明の席上、「私たちの同盟は共通の利益と価値観を促進する。最優先事項は共通の課題に立ち向かい、この関係を深めていくことだ」と述べたうえで、「米国の戦略は団結による安全保障だ。この地域の結束は日米同盟の上に築かれている」と訴えた。

 エマニュエルが語った「団結による安全保障」の言辞には、「基軸としての日米同盟」がその「団結」に寄与すべきものであるという期待が含まれている。実際、日米豪加各国や西欧諸国のような「西方世界」諸国と中国の確執が鮮明に現れる中では、日本の安全保障もまた、そうした「西方世界」同盟網の中で追求すべきものになっている。前に触れたQuadの枠組だけではなく、英仏両国やEU(欧州連合)による「インド・太平洋」戦略策定を踏まえ、それにどのように呼応していくかが、問われているのである。

拡大渋谷駅前の高層ビルの電光掲示板に映し出されている衆院選の知らせ=2021年10月25日、東京都渋谷区

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筆者

櫻田淳

櫻田淳(さくらだ・じゅん) 東洋学園大学教授

1965年宮城県生まれ。北海道大法学部卒、東京大大学院法学政治学研究科修士課程修了。衆議院議員政策担当秘書などを経て現職。専門は国際政治学、安全保障。1996年第1回読売論壇新人賞・最優秀賞受賞。2001年第1回正論新風賞受賞。著書に『国家への意志』(中公叢書)、『「常識」としての保守主義』(新潮新書)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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