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維新の躍進を「大阪府民がアホやから」で片づけてはならない

徹底した「どぶ板」と機動力。強さの理由を野党は学ぶべきだ

今井 一 ジャーナリスト・[国民投票/住民投票]情報室事務局長

SNSに溢れる「大阪府民はアホ」という投稿

 今回の衆院選で、日本維新の会は改選前の11から41(選挙区16、比例代表区25)へと大幅に議席を増やし、公明党を抜いて第3党に躍り出た。すると、ツイッターやフェイスブックなどSNSには、それに反応したアンチ維新の人たちのこういった投稿が溢れた。

 「大阪府民ってまったく何も考えていないって事が分かった。維新の悪行を見てないのか? アホばっかりだろ?」

 「大阪では公明も維新の犬やから大阪はほぼ維新。大阪府民アホやろw」

 「ホンマに大阪にはアホしかおらんの? なんで維新に投票してしまうん? 関西メディアにどんだけ騙されるん??」

 こうした「大阪府民はアホ」という投稿をしている人の大半は大阪府民なのだが、東京や神奈川など首都圏の住人で、投稿こそしないが同じように「維新一人勝ちの大阪って変じゃない」と思っている人は少なくないようだ。

 現に「今回の衆院選では維新が議席を急増させる」と予測する報道各社の世論調査が発表されたときから投開票日の翌日まで、首都圏で暮らす友人たちから「大阪人」の私のところに、「何でこんなに維新が強いの?」「大阪の人はおかしいんじゃない?」といった電話が何本もかかってきた。

 大阪府の選挙区は全部で19あるが、維新は過日の「都構想」(大阪市を廃止して特別区を設置)の件で協力を請うた公明との「取引」で、候補者擁立を控えた4つの選挙区を除く15選挙区に候補者を立て、そのすべてでトップ当選を果たした。ちなみに自民、立憲、共産の各党はいずれも選挙区での当選者はゼロだった。

見で当選を確実にした候補の名前を掲げる日本維新の会の松井一郎代表と吉村洋文副代表(右)。手前は片山虎之助・共同代表=10月31日午後9時59分、大阪市北区拡大見で当選を確実にした候補の名前を掲げる日本維新の会の松井一郎代表と吉村洋文副代表(右)。手前は片山虎之助・共同代表=10月31日午後9時59分、大阪市北区

 大阪でのこうした「維新圧勝」は、この数年の間に行われた大阪府議会議員選挙や大阪市会議員選挙、あるいは府知事選、大阪市長選でも繰り返し起きており、大阪市民の私は別段驚きはしない。ただし、首都圏など大阪から遠く離れた地域に住んでいる人たちにとっては理解し難いのだろう。

 「何で維新? 何で立憲は勝てないの?」と電話をかけてきた友人に対して、私は解説をする前にまずこんな問いかけをする。

 現在、維新は大阪府議会(定数88)で47議席、大阪市会(定数83)で40議席を得ている。では、立憲はそれぞれの議会で何議席持っているでしょうか?

 友人らはたいてい「20、いや15ぐらいかな。少なくとも二桁はあるよね」といった数字をあげるのだが、正解は府議会が[2議席]で大阪市会は[ゼロ]だ。

 これでは、衆院選であれ参院選であれ、立憲が大阪の選挙区で当選者を出すのは至難の業。ちなみに私が住む大阪2区(大阪市生野区、〃阿倍野区、〃東住吉区、〃平野区)では、前回当選者の佐藤章(自民公認、公明推薦)、尾辻かな子(立憲・前職)と維新の新人・守島正の3人が立候補したが、守島が120,913票を得て、佐藤(80,937票)、尾辻(47,487票)に圧勝した。

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筆者

今井 一

今井 一(いまい・はじめ) ジャーナリスト・[国民投票/住民投票]情報室事務局長

 1991年以降、ソ連、ロシア、スイス、フランス、イギリスなどで国民投票の取材を重ね、国内では新潟県巻町、名護市、徳島市など各地で実施された住民投票を精力的に取材。2006年~07年には、衆参各院の憲法調査特別委員会に参考人及び公述人として招致され、国民投票のあるべきルールについて陳述する。著書に『CZEŚĆ!(チェシチ)──うねるポーランドへ』(朝日新聞社)、『住民投票』(岩波書店)、『「憲法9条」国民投票』(集英社)、『国民投票の総て』、『住民投票の総て』(ともに[国民投票/住民投票]情報室)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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