メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

異変? メディアの衆院選の予測がばらけた!~理由・課題を松本正生氏に聞く

コスト面と調査環境の変容で方法を変えたメディア各社。選挙情勢調査のゆくえは

吉田貴文 論座編集部

 朝日新聞の選挙情勢調査の結果が他社と違うようだ。どうして?――

 10月19日公示の衆院選が始まって1週間たった頃、選挙関係者の間でそんな声があがった。「自民党が優勢」という報道が他のメディアとかなり異なっていたからだ。

衆院選の結果予測がメディアによって違った!

 自民優勢を報じたのは10月26日付朝刊。1面に掲載された「自民 過半数確保の勢い/公示前は下回る可能性/衆院選中盤情勢調査」という記事の「前文」にはこうある。

 31日投開票の衆院選(定数465)について、朝日新聞社は23、24日、全国約38万人の有権者を対象に電話とインターネットによる調査を実施し、全国の取材網の情報も加えて、選挙戦中盤の情勢を探った。現時点では、①自民党は公示前の276議席より減る公算が大きいものの、単独で過半数(233議席)を大きく上回る勢い②立憲民主党は比例区で勢いがなく、公示前の109議席からほぼ横ばい――などの情勢になっている。

 続く本文では、自民党は選挙区では公示前に及ばないが、比例区は公示前を上回り、国会を安定的に運営できる絶対安定多数(261議席)を確保する可能性もあると指摘。一方、立憲は選挙区は公示前を上回る公算が大きいとしながらも、比例区は勢いに欠け、公示前を下回りそうだと予想している。

 これに対し、他紙はどう報じたか。自民党に着目すると、以下の通りだ。

毎日・共同 自民党は、公明党と合わせた与党で絶対安定多数を視野に入れるが、単独では公示前から減らす可能性。(10月27日)
読売 自民党は単独での衆院定数の過半数維持が微妙な情勢。(10月29日)。
日経 自民党は定数の過半数以上を単独で維持できるかの攻防。(10月28日)。
産経 自民党は単独で過半数を維持しそうで、連立を組む公明党とあわせれば過半数はほぼ確実な情勢。(10月26日)

 朝日は自民党が絶対安定多数も視野に入れているとし、読売は過半数も苦しいという書きぶり。明らかに差がある。野党支持者にとってはよほど衝撃的だったのか、SNS上では朝日の調査に対し、「異様」「ほとんど改ざん」などの批判が飛びかった。

 結果は、自民党の獲得議席は絶対安定多数の261で、朝日の予測があたったかたちになった。

 近年の国政選挙で、メディアの情勢調査は各社とも結果をほぼ言い当てていた。今回はなぜ、ばらけたのか。世論調査に詳しい松本正生・埼玉大学名誉教授にその理由と今後の課題などについて聞いた。

拡大インタビューにこたえる松本正生・埼玉大学名誉教授(Zoomの画面から)

松本正生(まつもと・まさお) 埼玉大学名誉教授
1955年生まれ。中央大学法学部卒、法政大学大学院博士課程修了(政治学博士)。専門は政治意識論、調査の科学。埼玉大学教授などを経て、2021年より埼玉大学シニア・コーディネーター。2020年より(株)社会調査研究センター代表取締役社長を兼務。著書に『世論調査のゆくえ』(中央公論新社)、『政治意識図説』(中公新書)など。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

吉田貴文

吉田貴文(よしだ・たかふみ) 論座編集部

1962年生まれ。86年、朝日新聞社に入社。政治部で首相官邸、自民党、外務省、防衛庁(現防衛省)、環境庁(現環境省)などを担当。世論調査部、オピニオン編集部などを経て、2018年から20年まで論座編集長。著書に『世論調査と政治ー数字はどこまで信用できるのか』、『平成史への証言ー政治はなぜ劣化したのか』(田中秀征・元経企庁長官インタビュー)、共著に『政治を考えたいあなたへの80問ー3000人世論調査から』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

吉田貴文の記事

もっと見る