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深刻化するデジタル暴力 被害者の多くは女性 背後に性差別的な社会構造

国連人口基金が「#STOPデジタル暴力キャンペーン」を実施

伊藤和子 弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長

 国連人口基金(UNFPA)が日本医療政策機構と共催で、11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」から12月10日の「人権デー」まで、女性や少女に対するオンライン上の暴力撲滅を目指す「#STOPデジタル暴力キャンペーン」を実施します。

 オンライン上の暴力といえば、1年前にSNS上の誹謗中傷を苦にして22歳で自ら命を絶ったプロレスラーの木村花さんのことが思い出されますが、その後もこうした暴力は絶えず、最近でも眞子さんと小室圭さんの結婚をめぐって、SNSやネットのコメント欄で誹謗中傷が飛び交いました。

 オンライン上の暴力はなぜなくならないのか。政治や事業者はどう対応するべきなのか。この問題に詳しい、弁護士で国際人権NGOヒューマンライツナウ理事・事務局長の伊藤和子さんにお聞きしました。(聞き手 論座編集部・吉田貴文)

◇デジタル暴力について考えるトークイベント◇

 国連人口基金(UNFPA)は「#STOPデジタル暴力キャンペーン」の初日にデジタル暴力について考えるトークイベントを開催します。

日時:11月25日(木)17:00~18:30
場所:HELLO, VISITS東京大学・ワークショップスペース
(東京都文京区本郷4-1-7 第二近江屋ビル2F)

 メイクアップアーティスト・僧侶の西村宏堂氏、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授の山口真一氏らをゲストに迎え、牧島かれんデジタル相、木村花さんの母・響子さんらメッセージも紹介します。

 詳しくは「ここ」から。

拡大「#STOPデジタル暴力キャンペーン」トークイベント

逃げ場がないオンライン上の誹謗中傷

――昨年、プロレスラーの木村花さんが亡くなり、ネット上での誹謗中傷の問題やプラットフォームの責任などが問われました。それから1年以上がたちますが、いわゆる「デジタル暴力」をめぐる状況は今、どうなっていますか。

伊藤 木村さんの事件で、オンラインにおける誹謗中傷などのハラスメントがどれだけ人の心を傷つけるか、人を死に追いやるほどの凶器となりうるかということを、社会が認識したと思っていたのですが、その後も改善する方向には進んでいないと思います。コロナでデジタルを使う機会が増え、いっそう深刻化しているようにさえ見受けられます。眞子さんと小室圭さんの結婚についてのネット上での誹謗中傷は異常でした。

 かつては、自分の「快」「不快」の感情を知っている人にぶつけても、表では言わないといった「抑制」があったと思いますが、オンラインの世界はそうした歯止めが弱く、「快」「不快」をまったく知らない人にもぶつけるようになっていますね。

拡大インタビューにこたえる伊藤和子さん(Zoomの画面から)

――リアルの世界の誹謗中傷やヘイトとオンライン上のそれとで違いはありますか。

伊藤 オンラインの誹謗中傷は、リアルよりエスカレートしやすい面があります。くわえて、衆人環視のもとにさらされるというリスクもあります。

 狭い集団でのいじめで、特定の人が歪(ゆが)んだレッテルを貼られたとします。その集団の中では苦しいですが、別の世界の人たちは、そのレッテルを知りません。だから「外の世界があるよ」と呼びかけることもできる。でも、ネットでレッテルを貼られると、社会全体に広がってしまう。逃げ場がなく、標的になった人にはさらに絶望的に感じることでしょう。

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筆者

伊藤和子

伊藤和子(いとう・かずこ) 弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長

1994年に弁護士登録。女性、子どもの権利、えん罪事件など、人権問題に関わって活動。米国留学後の2006年、国境を越えて世界の人権問題に取り組む日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウを立ち上げ、事務局長として国内外で現在進行形の人権侵害の解決を求めて活動中。同時に、弁護士として、女性をはじめ、権利の実現を求める市民の法的問題の解決のために日々活動している。ミモザの森法律事務所(東京)代表。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです