泉代表、逢坂代表代行、西村幹事長、小川政調会長の常識を越えた決断と行動に期待
2021年12月02日
立憲民主党(以下、立憲)の代表選は、1回目投票の上位2人による決戦投票の末、泉健太氏が逢坂誠二氏を大差で破って選任された。11月30日午後におこなわれたこの代表選を、私はテレビの生中継でその一部始終を視聴した。
それにしても、立憲はなぜ、代表選を衆院選前に実施しなかったのか。少なくとも自民党の総裁が交代した段階で立憲も人事を一新しておけば、その後の展開は、今とまったく違ったものになっただろう。私も含めて、そのような声はきわめて大きい。
もしも、この代表選が衆院選の前に行われていたらどうだったか。今回、立候補した4人の候補の誰が代表に選ばれたとしても、衆院選でかなりの前進があったに違いない。
泉、逢坂、小川淳也、西村智奈美の4氏は、その資質において、決して自民党の総裁候補(岸田文雄、河野太郎、高市早苗、野田聖子の4氏)に負けてはいない。それどころか、“世襲政治家”ではなく“創業政治家”であることにより、政治の道の険しさや世論の深さを知るという点で、政治家として「一日の長」があるかもしれない。演説、挨拶、立ち居振る舞いでも、“温室育ち”の世襲政治家の上をいっている。
4人が推されて立ったのではなく、自ら手を挙げて立ったところも、もっと注目されていい。それほどまでに党の刷新に意欲的なのだと思いたい。
泉新代表は、明るくて爽やか。旧国民民主党を出て、昨年また立憲民主党に合流したことから、政治家としての自立性も感じられる。
今すぐ首相をつとめるというなら、逢坂氏は一歩前に出ているだろう。北海道・ニセコ町長として行政をつかさどった経験が生きるはずだ。安定感と信頼感は群を抜いている。
ただ課題は、政治基盤の狭さを感じさせるところだ。より柔軟な経済政策と安保政策を待っている人は少なくない。
小川氏には、ある種の熱狂的な支持があることは承知している。世論を“援軍”とするその突破力が必要とされる日は、遠からず来るだろう。仮に党がこのまま停滞してしまうようなら、そこに風穴を開けるのは彼に違いない。
西村氏も健闘した、今までの与野党の有力女性政治家とは、どこか違うという印象を受けた。米農家の生まれ、地方大学の出身、新潟県議会議員の経験者という経歴によって、政治家に必要な“土着性”が身についているのだろう。
さて、それではなぜ、立憲民主党の代表選は低調のまま推移したのだろうか。役者がそれなりにそろったのに、“観客席”がまばらであったのはどうしてだろうか。思いつくまま指摘してみたい。
(1)枝野幸男・前代表は潔く辞任したものの、党として、衆院選の敗北について総括していない。「代表交代の前にやることがあるはずだ」というのが世論の大勢だろう。
(2)それ以前の問題として、安倍晋三・元首相から「悪夢のような民主党政権」と言われても、有効な反論ができなかった民主党政権の失敗を、いまだに総括していない。世論の底流に流れる10年前の民主党政権に対する強烈な不信感は、時間が経てば消えるほど軽いものではない。
(3)当時の民主党政権の失敗に関して第一級の責任があるベテラン議員が、今もって議員グループを率いているようでは、立憲がかつての民主党と同じ党と見られるのは当然だろう。
(4)今回の代表選では、4人の候補が意図的に政治対立や政策対立を避けている印象を与えた。
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