2021年12月08日
韓国の疾病管理本部の発表によれば、12月7日の陽性者数は7175名、過去最高となった。韓国の1日の陽性者数は12月に入り初めて5000人を突破、1カ月前の11月初めまでは最高でも2000人前後だったので、この1カ月で陽性者が急増したのは明らかである。
ただ同じく過去最高を更新し続けている欧州などに比べると、数字的には感染爆発といえるほどの規模ではないともいえる。例えばかつての「新型コロナ対策の優等生」ドイツの場合は、11月24日には7万9051人を記録したという。
ドイツに限らず欧州の国々はどこも大変で、それに比べれば韓国はまだまだ大丈夫のようにも見える。実際のところ韓国政府の当局者は以前には「1日7000~1万人までは大丈夫」という発言を繰り返していた。その理由は「ワクチン接種目標が予定どおり完了したから」(10月23日に目標である国民の70%接種を達成)。ところが今はそんなことを言っている場合ではなくなった。陽性者数はともかく、重症者・死亡者が当初の想定以上に多くなってしまったからだ。
陽性者の増加にともない重症者数も連日「過去最高」を更新しており、12月7日は「840人」と発表されている。死亡者数も11月22日以降は連日30人を超えており(12月3日は過去最高の70名)、その中には自宅待機中に亡くなった方もいる。病床逼迫をなんとかするために、韓国政府は「軽症者は原則として自宅治療」という方針転換を行ったが、症状が急変することもあり、こんどは在宅者への治療体制の構築が急務となっている。ソウル首都圏での重症患者の病床使用率は数字こそ80%台となっているが、病床があっても医療スタッフがいなければ回せない。そのため首都圏の患者を、まだ余裕がある他地域に移送することも行われている。
「こんな重症患者がどうしてここまで運ばれてきたのかと……」(12月3日付「京郷新聞」、「病床増やすなら看護師も増やして」)
政府は各病院に「コロナ用の病床を増やすように」という指示を出しているが、この記事にある現場の声は悲痛である。
今、韓国の報道を見ていると、日本の夏のあの悪夢が蘇ってくる。オリンピックが終わった8月の中旬以降、全国で日に2万人を超える陽性者数が発表されていた。検査は全く足りず、たとえば当時の東京都では陽性率が20%を超えていた(ちなみに12月現在では0.3%ほど)。さらにピーク時には重症者数も全国で2000名以上となり、「救急車を呼んでも来ない」、「来ても行き場がない」、「待機中に亡くなる人もいる」……、連日の報道に人々は恐怖した。今も日本人の多くはあの時のトラウマがあるのだと思う。日々の陽性者数が全国で100人台になっても警戒を緩めない人は多い。
あのさなか、8月中旬に私は日本から韓国に移動した。ちょうど韓国が「ワクチンパスポート」で入国時の隔離免除を開始したためそれを利用したのだが、その時の韓国の防疫体制はとてもスマートだった。規制こそ厳しかったが、少なくとも検査体制は盤石であり、医療につながれないという不安もなかった。正直、韓国に到着してホッとした。それが今はどうなってしまったのだろうか?
「毎日毎日40人近くの人が亡くなるって、恐ろしいことです。私は年寄りなので、ものすごく怖いです。政府が日常生活への復帰を宣言したせいで、若者たちは街にあふれていますが、私は不安でたまりません」
別件でインタビューした会社社長は
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