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急速に衰えたバイデン政権~民主党は内輪もめしている場合ではない

政策失速・インフレ―中間選挙と大統領選に懸念/米の混乱は国際秩序の不安定化に

花田吉隆 元防衛大学校教授

問題の核心は民主党の在り方

 しかし、問題の核心はバイデン氏個人の資質云々より、民主党の党としての在り方かもしれない。党内がバラバラで、こうも大統領の足を引っ張るようでは、いくら大統領が有能であったとしても成果は期待できない。

 民主党は自らの党の立ち位置をどう考えているのか。

インテリの党に変貌した民主党、大衆は共和党に流れた

 かつて民主党は労働者やマイノリティーの党だった。共和党の支持基盤が富裕層にあったのに対し、民主党は弱者を基盤とする政党だった。ところが今は必ずしもそうでない。

 民主党の支持層は主にニューヨークやカリフォルニアといった東海岸、西海岸の都市部に多く、一歩都市部を離れれば地方は共和党の地盤になる。都市部には富裕層が集中するが、地方はそうでない。一方、民主党は大卒白人層に支持を広げるが、共和党は同じ白人でも比較的低学歴層が中心だ。民主党は、人種やフェミニズムで進歩的姿勢を打ち出してきた。人種差別に反対し、女性の地位向上を目指した。それ自体は弱者のための政策だったが、強くアピールしたのは高学歴層で、低学歴層は逆に反発し民主党から離反していった。

 民主党はいつの間にか、インテリ、エスタブリッシュメントの党になり、一般大衆は共和党に流れていった。

拡大【左】1968年8月、シカゴでの民主党大会の会場近くには多くのマイノリティーやヒッピーたちが集まり、兵隊に取り囲まれて朝を迎えていた。この女性は10ドルだけを手にアラバマからヒッチハイクできたという【右】2016年7月、フィラデルフィアでの民主党全国大会

進歩的姿勢だけでは伸びぬ党勢

 問題は、米国で大卒の高学歴層は有権者の36%でしかないということだ。余りに急進的で進歩的な姿勢を打ち出せば、有権者の多くは背を向けてしまう。

 今の民主党は、インテリには支持されるかもしれないが、国民の大多数の心をつかみきれてない。しかしそれでは、党勢の伸びは期待できない。

非効率な政党 地方に届かぬ主張

 民主党の主張が地方に届いていない。しかし、地方を落として米国を制することはない。

 上院についていえば、上院は各州2名が定員で人口数に比例して定員が決められているわけではない。だから、いくら民主党が全国の得票数で共和党を上回っても、地方に根を張らない限り、州の数で共和党に負けてしまう。

 共和党は、人口密度が比較的低い地方を抑えることで「効率的」に議席獲得を果たしている。逆に民主党は、頑張った割には議席が伸びない「非効率」な政党だ。

 政治意識が余り高いとは言えない地方住民に、どうやって民主党の高邁な主張を届けていくか、それを考えなければならない。

党内は穏健派と左派が対立

 民主党の党内は一枚岩ではない。

 進歩的主張が必ずしも有権者の支持を得ることにはならないと認識し、進歩主義は程々にすべきとするジョー・マンチン上院議員らの穏健派に対し、民主党は弱者やマイノリティーの党であることを忘れてはならない、とするバーニー・サンダース上院議員らの左派が対立する。

 民主党自身が、どの有権者にその主張を訴えていくか、焦点を絞り切れていないのだ。

拡大ジョー・マンチン上院議員=2021年11月4日、ワシントン(HillRachael Warriner/S hutterstock.com)
拡大バーニー・サンダース上院議員=2019年11月1日、アイオワ州デモイン

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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