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難民申請中の送還停止の例外規定を封じた東京高裁判決~入管法改定案再提出は無理筋

入管法改定案に「送還停止効例外規定」が盛り込まれれば東京高裁判決に違反

児玉晃一 弁護士

3回目以上の申請者の送還停止効を外す趣旨

 このうち、①の3回目以上の申請者について、送還停止効の例外を設ける趣旨について、出入国在留管理庁が公表した「入管法改正案Q&A」では、次のように説明されている(Q5)。

 難民と認定されなかったにもかかわらず、同じような事情を主張し続けて難民認定申請を3回以上繰り返す外国人は、通常、難民として保護されるべき人には当たらない(申請時に難民と認定することが相当であることを示す資料が提出された場合を除きます。)と考えられます。 そこで、このような外国人については、今回の入管法改正法案により、送還停止効の例外として、難民認定手続中であっても日本からの強制的な退去を可能とすることとしました。

 さらに、出入国在留管理庁が作成した「現行法の課題と改正法案の内容・効果2/5」というスライド(参照)にも、送還停止効の例外を設けることで期待できる効果として、
送還回避のために難民認定申請する者等を送還できる
と書かれている。

 以上から、改正法案で例外を設けるのは、難民申請の濫用を防止する趣旨であることが読み取れる。だが、この趣旨ははたして妥当なのだろうか。

 これに関連し、上記の2021年9月22日東京高裁の送還違憲判決は、次のとおり判示している。

 控訴人らの本件各異議申立てが濫用的なものであり、救済の必要性に乏しいと主張するが、難民該当性の問題と難民不認定処分について司法審査を受ける機会の保障とは別の問題であり、当該難民申請が濫用的なものであるか否かも含めて司法審査の対象とされるべきであるから、控訴人らの難民申請にかかる上記事情を前提としても、そのことをもって、司法審査の機会を実質的に奪うことが許容されるものではない。

 そうだとすると、司法審査を受ける機会どころか、出入国在留管理庁内部の審査すら受ける機会を与えないで強制送還することを可能とする入管法改定案は、はなから論外ということになる。そして、国はこの判決に対して、上告することなく服したのである。その意味は、重い。

拡大入管法改正案に反対する座り込みに参加した若者たち=2021年5月14日、東京都千代田区の国会前

重大犯罪者等の場合も同様

 例外規定を設けることが提案された②重大犯罪もしくは暴力的破壊主義者、についても同様である。

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筆者

児玉晃一

児玉晃一(こだま・こういち) 弁護士

1966年生まれ。早稲田大学卒業。1994年弁護士登録。2009年からマイルストーン総合法律事務所(渋谷区代々木上原所在)代表弁護士。1995年から入管収容問題、難民問題に取り組む。移民政策学会元共同代表、元事務局長。2014年からは”全件収容主義と闘う弁護士の会 「ハマースミスの誓い」”代表。2021年春の通常国会衆議院法務委員会では改定入管法に反対の立場で参考人として意見を述べた。著書・論文に『難民判例集』(2004年 現代人文社)、『「全件収容主義」は誤りである』(2009年 『移民政策研究』創刊号)、「恣意的拘禁と入管収容」(法学セミナー 2020年2月号 2020 日本評論社)などがある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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