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緑の党の台頭にみるドイツの政治文化

ベトナム戦争時に学生時代を送った「1968年世代」が残したもの

高野 弦 朝日新聞社前ベルリン支局長

調和を前提としない政治教育

 ドイツの「政治の季節」がもたらした最大の遺産は、おそらく学校での政治教育だろう。

素材ID 20200330TSEJ0006A拡大ナチス政権下の「抵抗」の実例について、教師と話し合う生徒たち2020年2月、ドイツ・フランクフルト近郊の州立校

 ギムナジウム(日本の中学校と高校に相当)の社会科の授業では、原発問題など極めて時事的なテーマが取り上げられ、選挙前の模擬投票では政党別に役割を割り振られた生徒が、その政策の是非をめぐって議論する。先生が自らの意見を述べることも珍しくない。調和を前提とせず、現代的な問題を批判的に論じ合うこうしたスタイルは、60年代後半以降に始まった。76年に教育関係者の間で成立した三つの合意が、その理念をよく表している。

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筆者

高野 弦

高野 弦(たかの・ゆづる) 朝日新聞社前ベルリン支局長

 1966年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、朝日新聞社に入社。宇都宮、浦和支局、東京本社経済部、アジア総局(バンコク)、ニューデリー支局などを経て、2016年から2019年までベルリン支局長。この間、経済部次長、国際報道部次長・部長代理を務める。著書に「愛国とナチの間~メルケルのドイツはなぜ躓いたのか」(朝日新聞出版)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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