与野党が共にその解決策を考え、政府はそれを参考により良い政策を
2022年01月03日
国内外に課題が山積する今、政治はそうした課題にどう向き合い、解決すればいいか――。現役の国会議員が、それぞれ関心のある分野について、課題とその解決策について論じるシリーズ「国会議員、課題解決に挑む~立憲民主党編」。今回は落合貴之衆院議員の3回目の論考です。
泉健太新代表のもと、政務調査会副会長なった落合さんは、2022年を「失われた30年」を反転させる年にするといいます。この30年に積み重なったアベノミクスの「負の部分」とは何なのか。まずは現在の課題について説明します。コメント欄にぜひ、ご意見をお寄せください。(論座編集部)
昨年11月末、立憲民主党の新代表に47歳の泉健太さんが就任しました。代表代行に逢坂誠二さん、幹事長には西村智奈美さん、政務調査会長は小川淳也さん。2022年は代表選挙に出たこの4人が党の力を最大限引き出し、より世に貢献する政党を、多くの有権者と共に創っていくことが重要です。
新体制人事で私は小川政調会長を支える政調副会長を拝命しました。政務調査会は党の政策をつかさどり、政府の出す法案や各省庁の問題は各部会で対応します。さらに党は、「憲法」「税制」「経済・産業」「社会保障」「環境エネルギー」「外交・安保・主権」「教育」の7分野で、中長期的なビジョンの検討と夏の参議院選挙の公約づくりのための調査会も立ち上げましたが、私は経済政策を担う「経済・産業調査会」の事務局長も兼務することとなりました。政権を担うに足るまっとうな経済政策を、大島敦調査会長と共に模索していきたいと考えています。
2012年暮れ、経済政策アベノミクスを掲げる安倍晋三政権が発足しました。菅義偉政権も基本的にこの路線を引き継ぎました。同じ政策が9年間も続けば、「負の部分」も積み重なってきます。
昨秋に発足した岸田文雄政権は「新しい資本主義」の旗を掲げ、アベノミクスの修正を図っているように見えます。「新しい資本主義」に対しては期待と懐疑的な意見がない交ぜになっていますが、私個人は長く続いたアベノミクスの負の部分の修正に、まずは期待をかけたいと考えています。そのうえで、不十分なところ、間違っているところは、国会でしっかり指摘をしていきたいと思います。
アベノミクスのもと、積極的な金融政策により、物価はマイナス局面から脱却し、デフレでない状況はできました、また、特に大企業の収益は高い数字を示し、株価も上がりました。これは一つの成果です。
しかし、それは、国民の家計を潤し、企業の競争力も向上させるという好循環を生むには至りませんでした。アベノミクスは「道半ば」だということは、安倍元首相自身も、ブレインの方々も、頻繁に口にしてきました。
上のグラフ1は、アベノミクスが始まってから、コロナ前までの7年間の数字です。物価上昇率よりも賃金上昇率が下回ってしまってきたため、国民の実質的な賃金は下がってしまいました。また、消費税の増税を2回行ったことなどもあり、国の経済の6割近くを占める個人消費は、アベノミクスの開始時よりも1割も下がってしまいました。
その結果、貯蓄ゼロ世帯が大幅に増えてしまいました(下の表参照。2018年から統計の取り方を変えてしまったため、2017年との比較を載せています)。
家計が振るわないことと共に気がかりなのは、産業競争力の急速な低下です。好調な企業業績が賃金に回らなかっただけでなく、有効な設備投資にも回らなかったことが原因です。
デジタルが世界経済をけん引するということは早いうちから分かっていたにもかかわらず、半導体生産の世界シェアは、この30年で約5割から1割程度にまで低下をしてしまいました。世界をけん引すると意気込んできた5Gの分野も、欧米の先進国にだけでなく、アジアの近隣諸国にも後れを取ってしまっています。
デジタルと並ぶ成長分野と目されるグリーン分野でも、太陽光パネルの世界での生産シェアは、10数年で約4割から1%未満に低下。風力発電設備の生産シェアも低下してしまっています。
なぜ、こういう経済になってしまったのか。その原因に手当をしなければ、良好な経済を築くことはできません。
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