メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

世界最北の島グリーンランドとデンマークをアートで繋ぐ若者たち

デンマークとグリーンランドの微妙な関係性を背景にした彼らの活動とは?

ERIKO モデル・定住旅行家

植民地支配から脱し自治権を獲得

拡大グリーンランド植民地化した宣教師ハンス・エゲデ(撮影・ERIKO)
 デンマークとグリーンランドの関係は、1728年ノルウェー系デンマーク人宣教師のハンス・エゲデ率いる50名の遠征隊がグリーンランドの地にやってきて植民地支配を行ったことに始まる。それまでグリーンランドの土地には、アラスカを起源とする捕鯨を生業にしたイヌイットと呼ばれる人びとが暮らしていた。

 230年間に及ぶデンマークによる植民地支配の間、デンマーク政府は先住民のキリスト教への改宗、デンマーク式の教育制度を設けるなどの改革を行い、狩猟や漁労をしながら生活していた人びとを、集合住宅に集めて現代的な生活を強いるなど、定住政策を促進した。グリーンランドは現在、アルコール依存症、自殺率世界一など多くの社会問題を抱えているが、これらの問題の発端も、デンマーク人が持ち込んだアルコールや、彼らの打ち出した政策が負の遺産がもたらした結果のとも言える。

 1979年に自治法が可決、2009年には大きく改正され、政治的な権限と責任がグリーンランド政府に移譲された。現在、グリーンランドの社会組織に対するデンマーク政府の干渉は少ない。一部の国民はデンマークからの独立を望んでいるが、グリーンランドはデンマークから送られる毎年約650億円の援助金で多くを依存しており、経済的に完全に独立するのは現実的ではない。

 筆者がグリーンランドに滞在中、デンマークのマルグレーテ2世女王がグリーンランドを公式訪問された。グリーンランド人の中には、王室関係者の訪問を快く思わない国民もいるが、多くの人たちがデンマークの国旗を振り、温かく女王を歓迎した。アウトドア好きで庶民的な印象のあるデンマークの次期国王のフレデリク皇太子は、グリーンランドを何度も訪問して犬ぞりで極地探検なども行っており、グリーンランド人には親近感のある人物として捉えられている。

グリーンランドの伝統技術や精神性に感銘を受けて

拡大デンマーク人アーティストJulie Bach ©︎Thomas Michael Ahern(Julie提供)

 2021年9月、グリーンランド第三の街、西部のイルリサットの美術館で「Breathing Hole」と題した展覧会が開催された。主催したのは、デンマーク人アーティストのユリア・バッハ(Julia Bach)を中心とした、デンマーク人3人、グリーンランド人2人のメンバーで構成されたアーティストグループである。

・・・ログインして読む
(残り:約1336文字/本文:約3915文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

ERIKO

ERIKO(エリコ) モデル・定住旅行家

鳥取県出身。高校在学中、語学留学のためイギリス、アメリカ合衆国に滞在。高校卒業後、イタリア、アルゼンチン、ロシア、インドで語学習得のための長期滞在をきっかけに、様々な土地に生きる人達の生き方や生活を体感することに興味を抱く。スペイン語留学で訪れたアルゼンチンでの生活をきっかけに、ラテンの地と日本の架け橋になるという目的を持って、中南米・カリブ25ヶ国を旅した。モデルと並行し、「定住旅行家」として、世界の様々地域で、現地の人びとの生活に入り、その暮らしや生き方を伝えている。NEPOEHT所属(モデル)。著書「暮らす旅びと」(かまくら春秋社)、「たのしくてう~んとためになるせかいのトイレ」(日本能率協会)

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

ERIKOの記事

もっと見る