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米軍機の低空飛行訓練を問う〈中〉パソコンひとつであぶり出す 隠されてきた実態

航跡データを捉えツイッターで連携/生活破壊する「違法飛行」の動かぬ証拠

谷田邦一 ジャーナリスト、シンクタンク研究員

京都上空を飛び交う軍用機、航跡とらえツイッターで発信

 そのひとりが京都平和委員会理事長の片岡明さん(58)だ。京都府を拠点に、米軍や自衛隊の監視活動を長年続けている。

 監視ツールとして、片岡さんが本格的にサイトを使い始めたのは2020年秋のこと。「京都上空をひんぱんに通過する米軍機や自衛隊機の航跡を何とかとらえられないか」との思いからだった。見よう見まねで試行錯誤を重ね、今ではとらえたデータに短い解説をつけてツイッター(#ハトの目)で発信するようになった。

 片岡さんが利用しているサイトは「Radar Box」「Flightradar24」「ADS-B Exchange」など。【1】の画像は、2020年12月29日に岩国基地から飛び立ったKC130空中給油機を追ったもの。広島・島根県にまたがる米軍の訓練空域「エリア567」で飛行訓練を重ねた後、九州東部に移って飛行。さらに四国の山間部を東から西に横断して瀬戸内海を渡り、岡山県上空を旋回し岩国に戻ってきた。画像左下の「SPATIAL」には、機体の現在位置の高度や速度が表示されている。

拡大【1】監視ツールを使えば、米軍岩国基地のKC130空中給油機が中国、九州、四国をぐるりと訓練飛行した航跡がつかめる(2020年12月29日)=京都平和委員会提供

驚く情報―日中韓周辺の米軍機活動・ステルス戦闘機の経路も

 片岡さんは毎日のようにパソコンに向かって監視活動を続けているが、「このツールを使えば低空飛行に限らず、驚くような米軍機の動きを知ることできる」と、いくつかの画像を提供してくれた。

 【2】の昨年9月4日の画像は、日本や韓国、中国周辺の軍用機の動きを重ね合わせたもの。在日米軍の所属機が日本周辺でどのような活動をしているかがよくわかる。沖縄の嘉手納基地から飛んだ米空軍のRC135電子偵察機が、中韓間の黄海上空で情報収集をしているとみられる動きもキャッチできた。

拡大【2】在日米軍基地の米軍機は国内各地を飛んでいるだけでなく、韓国や中国周辺にも出向いてひんぱんに活動している様子がわかる(2021年9月4日)=京都平和委員会提供
 また6月25日の画像【3】では、レーダーに映らないはずの米空軍のF35ステルス戦闘機が、岩国基地を飛び立ち日本海上空を移動する航跡がくっきりととらえられている。自ら電波を出して、その存在をアピールしているとみられる希少な画像である。

拡大【3】レーダーに映らないはずの岩国基地のF35ステルス戦闘機が、島根県の上空を抜け日本海に飛んでいく様子がとらえられた(2021年6月25日)=京都平和委員会提供

空母の極秘の洋上展開も

 さらに9月11日の画像【4】と【5】では、アフガニスタンからの米軍撤収作戦に従事していたとみられる米空母ロナルド・レーガンの位置を特定することができる。

拡大【4】横須賀基地を母港とする米空母ロナルド・レーガンの艦載機が、アラビア海からアフリカ北部方面に向かって飛ぶ様子が確認できた(2021年9月11日)=京都平和委員会提供
拡大【5】

 同空母は日本の横須賀基地(神奈川県)を母港にし、艦載機部隊は岩国基地を陸上拠点にしている。洋上から西に向かって移動する航跡は、サイトに表示された機体のコールサインから、同空母の艦載機であるC2輸送機と判明。洋上で作戦中の米空母の位置は極秘中の極秘だが、アラビア海の航跡が始まる起点部分に空母がいることが推定できる。

拡大横須賀基地を出港する米海軍の原子力空母ロナルド・レーガン=2016年6月4日

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筆者

谷田邦一

谷田邦一(たにだ・くにいち) ジャーナリスト、シンクタンク研究員

1959年生まれ。90年、朝日新聞社入社。社会部、那覇支局、論説委員、編集委員、長崎総局長などを経て、2021年5月に退社。現在は未来工学研究所(東京)のシニア研究員(非常勤)。主要国の防衛政策から基地問題、軍用技術まで幅広く外交・防衛問題全般に関心がある。防衛大学校と防衛研究所で習得した専門知識を生かし、安全保障問題の新しいアプローチ方法を模索中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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