コロナ禍で限界を露呈した「感染症ムラ」のとんでもない実態~上昌広氏に聞く
コロナ対策徹底批判【第四部】~上昌広・医療ガバナンス研究所理事長インタビュー⑫
佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長
田代さんに「感染症ムラ」に入れたもらえた押谷さん
上 押谷さんの経歴は、1987年に東北大学を卒業後、東北大の関連病院で研修し、JICA(国際協力機構)に行きます。その後、新潟大の公衆衛生に行っていますが、この段階では中央との縁はありません。押谷さんにとっての幸運は、この時に厚労省の研究班に入れてもらったことです。引き立てたのは田代さん。田代さんは東北大学の卒業、そして押谷さんも東北大卒ということで先輩、後輩の関係です。
――そういう風につながっていくわけですね。
上 押谷さんはこのメンバーの中で肩書き、経歴が一人だけ違う。感染研の人じゃない。それが今回、専門家会議、分科会のメンバーに入れてもらえたのは、新型インフルエンザの時に「感染症ムラ」という“裏社会”に入れてもらえたからなんです。

会見する専門家会議の尾身茂副座長(右)、西浦博・北大教授(左)と押谷仁・東北大教授=2020年5月29日、東京都千代田区
「永田町や霞が関の近くにいたい」というメンタリティ
上 田代さんの経歴を見ると、押谷さんの東北大で12年先輩です。その後、自治医科大学から感染研に行く。そして、感染研でインフルエンザ・ウイルス研究センター長というポストを取って、新型インフルエンザの有識者に選ばれました。そこで班長になった田代さんはメンバーを決めて、この1億5100万円の科研費を配ることができるようになったんです。
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