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外国籍の子どもたちが教育を受ける権利を奪うな~グローバルスクールを運営する田中宝紀さんに聞く

「多様性」に親しむ環境やルール作りで「日本人しかいない日本」幻想の打破を

松下秀雄、石川智也

日本語支援が必要な子どもは約51000人

 ――そもそも、日本国内には、日本語の支援が必要な子どもや若者はどのくらいいるのでしょうか。そして、学校での対応はどうなっているのでしょう?

 はっきりとした数字はわからないのですが、日本国内の学校に通っている子どもたちのなかで日本語がわからない状態にあると認知されている子どもは、2018年度の調査では約51,000人とされています。

 外国人が比較的多い地域であれば、学校内に日本語学級が設置されていたり、あるいは、日本語をサポートする教員が所定の時間に学校にやってきて別室で日本語のサポートを受けられたり、といった体制が整備されているところが最近は増えてきています。

田中 宝紀『海外ルーツの子ども支援』より
拡大田中宝紀『海外ルーツの子ども支援』より

 一方で、海外ルーツの子が学校に一人ぐらいしかいないような地域だと、突発的に発生する「日本語がわからない子」のニーズに対して、自治体側も予算や人材を用意できるわけではないので、そのまま放置されてしまうことも少なくありません。

 日本語指導が必要な子どもたちのうち半数以上は、こうした外国人が少ない地域に暮らしています。ですので、なかなか支援が届かない存在になりがちということです。

 来日して2年くらい経っているのにほとんど片言の日本語しか話せなかったり、ひらがなの読み書きもあやしかったり、といった状態の子どもと出会うことも珍しくありません。 耳で聴いて日本語を覚えられるようになるのは8、9歳くらいまでが限度とも言われていて、それを過ぎてしまうと、なかなか日本語能力は自然に伸びないし、誤った表現の日本語がそのまま固定してしまうといったケースも目立ちます。

 海外ルーツ の子どもたちの多くは、親が先に日本国内に働きに来て、後から呼び寄せられて来日するという場合が大半です。本人が望んで来ているわけではないので、「なぜ日本の学校に自分が行かなければならないのか」というネガティブな感情がどうしても先にたってしまう子どもも多いです。

 わからない授業をひたすら聞き続けるのは精神的に大きな苦痛を伴いますし、かつ支援が何もない状況だと、完全にふさぎ混んでしまう子どももいます。

 周囲ともなかなかコミュニケーション難しいので、友達ができないなど、孤独を経験する子どもも多いです。

 もともと自分の国の学校では勉強がよくできた子でも、そうなってしまう。言葉が変わるというのは、それほど大きな体験です。

外国籍の子どもの数を把握していない自治体も

 ――いま学校で起きている状況を伺いましたが、学校に通っていない、あるいは通えなくなってしまった不就学の子どもたちもかなりいるわけですよね。

 文部科学省が2019年、日本に住む外国籍の 小中学生にあたる子どものうち、約2万人が就学していない可能性があるという調査を発表しました。この数字はかなり注目を浴びましたが、この2万人のうち、実際に確認してカウントできた子は約1千人しかいません。

 就学年齢の外国籍の子どもの数をそもそも自治体が把握していなかったり、外国人学校に在籍していることを知らなかったりすることなどが原因です。外国籍住民は義務教育の対象ではないものの、教育を受ける権利は保障されなければならないわけですから、自治体がこうした子どもの存在をしっかりと確認しようとしないことは、大きな問題だと思います。

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