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プーチンのウクライナ侵攻を止められるのは誰か~「最悪だ」と呟いたマクロン

プーチンとの対話の細い線が繋がっているマクロンに打つ手はあるのか

山口 昌子 在仏ジャーナリスト

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻開始(2月24日)から1週間が経った。プーチン大統領は3月3日、マクロン仏大統領と電話会談をおこない、攻撃は「(ウクライナの)非武装化達成の作戦完遂」まで続行すると宣言した。

 誰がこのプーチンの暴挙、“鉄の意思”を停止させ、ウクライナを救済することができるのか。目下のところ、成果があまり上がっていないにせよ、国際社会でプーチンとの対話の細い線が繋がっているのはマクロンしか見あたらない。

拡大マクロン仏大統領 Alexandros Michailidis/shutterstock.com

プーチンと5回会談したマクロン

 マクロンは3日のプーチンとの90分の会談後、「『最悪の事態だ』と呟いた」と伝えられる。

 マクロンとプーチンとの会談はこれで5回目。1回目は2月7日。危機が高まるなか、モスクワのクレムリン宮殿で対峙(たいじ)した。5時間の会談後、共同記者会見が開かれ、プーチンはウクライナに侵攻せずのような態度を示した。

 2回目は2月12日の1時間40分の電話会談。バイデン米大統領とプーチンの電話会談に先立ち、マクロンが「ミンクス合意」(2014年に始まったウクライナ東部紛争を巡って2015年2月にロシア、ウクライナ、仏独の4カ国で合意)の順守を要請したのに対し、「ロシアのウクライナへの攻撃」は「挑発的なスペキュレーション(目論見)」と一蹴し、「攻撃なし」の態度だった。

 3回目は2月20日。「危機に対する外交的解決を優先する必要性のために、近々に緊密な外交的業務を実施」などで合意した。

5メートルの長テーブルでの会談

 ところが、ロシアは2月24日にウクライナ攻撃を開始。マクロンの面子は丸つぶれだった。すでに1回目のクレムリンでの会談でも、会談が長さ5メートルのテープルを挟んで行われたため、野党側は「フランスが侮辱された」とマクロンを非難した。

 この5メートルのテーブルは、“公式説明”によると、マクロンがモスクワ到着時のコロナ感染テストを拒否した結果、ロシア側が「社会的距離」を取るための措置ということになっている。フランスメディアは「マクロンがロシア側にコロナ検査の際、DNAを採取されるのを嫌ったから」として、KGB出身のプーチンを相手にした時の警戒の必要性を強調した。

拡大モスクワのクレムリン宮殿で、長いテーブルをはさんで会談するフランスのマクロン大統領(右)とロシアのプーチン大統領(左)。ロシア大統領府提供=2022年2月7日。AP

 マクロンはプーチンのこれらの“侮蔑的”な扱いにもかかわらず、ロシアのウクライナ侵攻後の2月28日にも電話会談し、「市民と住宅への全攻撃の停止」などを要請した。これに対し、プーチンは要請の受け入れを表明すると共に、「市民への攻撃なし。市民の死者は皆無」として、ウクライナ側の発表は虚報だと断じた。

※ロシアのウクライナへの軍事侵攻に関する「論座」の記事は特集「ウクライナ侵攻」からお読みいただけます。

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筆者

山口 昌子

山口 昌子(やまぐち しょうこ) 在仏ジャーナリスト

元新聞社パリ支局長。1994年度のボーン上田記念国際記者賞受賞。著書に『大統領府から読むフランス300年史』『パリの福澤諭吉』『ココ・シャネルの真実』『ドゴールのいるフランス』『フランス人の不思議な頭の中』『原発大国フランスからの警告』『フランス流テロとの戦い方』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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