星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト
1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
私たちの前に出現した新しい形の「冷戦後」に日本はどう向き合うのか
ベルリンの壁が崩れ、当時のブッシュ(父)米大統領とゴルバチョフ・ソ連共産党書記長が「冷戦終結」を宣言してから30年余。欧州では、経済面でEUの枠組みが(英国の離脱はあったものの)広がり、安全保障面ではNATOがポーランドやバルト3国など東方に拡大した。
NATOの拡大がウクライナにまで及ぶのは何としても阻止したいというのが、ロシアの侵攻の論理だ。冷戦後は、旧ソ連圏も含めて、民主主義、市場経済、国際協調という共通のルールで世界が動くはずだったが、プーチン大統領のロシアは民主化に背を向け、市場経済も徹底せず、さらには国際協調の枠組みにも挑戦してきた。今回の侵攻では、大量の核兵器を保有し、最新鋭のミサイルや戦闘機などを配備する軍事大国・ロシアにどう対抗するかという難問が、国際社会に突き付けられた。
米国を含むNATO諸国はウクライナが同盟国ではないため、直接の軍事介入はできないと判断。武器供与などの側面支援とロシアへの経済制裁を強めることになった。ロシアの軍事侵攻とウクライナ側の抵抗、制裁によるロシアへの打撃。それぞれが今後どう展開するかが焦点である。
もっとも、ロシアが10万人を超える軍隊を派遣しても、人口4000万のウクライナ全土を制圧するのは容易ではない。
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