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選択的夫婦別姓反対派はなぜ「世論調査」を読み誤るのか

世論は法改正に向け着々と進む。非論理的主張にかいまみえる反対派の焦り

井田奈穂 「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」事務局長

相次ぐ地方議会の意見書可決、反対派は「データ改ざん」と攻撃

 ここに至る背景には、地方議会から国会に、選択的夫婦別姓の法制化や国会審議を求める意見書の可決が相次いでいることが挙げられます。夫婦同姓を定めた民法などの規定を合憲とした2015年の最高裁判決 が出る以前は50件ほどでしたが、2021年末日時点に確認できている可決数は329件。そのうち104件は、私たち選択的夫婦別姓・全国陳情アクションのメンバーが地元議員にお会いして困りごとを伝え、直接働きかけた可決です。

 各地の意見書可決状況を見ると、2021年9月議会以降が約90件と、特に大きく可決数を伸ばしています。

拡大各地の意見書可決状況(選択的夫婦別姓・全国陳情アクション集計) https://chinjyo-action.com/area/

 そんな中、「意見書の中に平成29年世論調査の改ざん/水増しデータが含まれている」というのが、椎谷氏ら反対派の最近の主張です。

 特に私たちが、選択的夫婦別姓に反対している自民党「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(以下、通称拡大議連)役員17名(現職のみ)に、旧姓の通称使用によるトラブル事例を抱える当事者が証言する勉強会実施を申し入れた12月24日直後から、Twitterの匿名アカウントからの誹謗中傷が急増しました。地方議会の記録から陳情者・請願者の住所・氏名・電話番号を突き止め、Twitterで個人情報を晒したり、取材記事の氏名から職場を割り出して脅しに使う行為も広がっています。

 同時に「改ざんだ」という主張を、わざわざ資料を作り、匿名アカウントが取ったTwitterアンケートとともに、地方議会に送る動きも始まりました。後述しますが「改ざん論」の発端は日本会議関係者であることから、ネットサポーターの動員を思わせる動きです。

複数アカウントで何度も投票できるTwitterアンケートが国の世論調査を覆す有効なデータだと主張している


筆者

井田奈穂

井田奈穂(いだ・なほ) 「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」事務局長

1975年、奈良県生まれ。IT業界で働く傍ら、Twitterでつながった仲間と地元議会に陳情を出したことをきっかけに2018年11月、選択的夫婦別姓の法制化を求める団体を設立。全国の地方議会で同制度推進の意図での意見書可決が急増する発端を作った。早大・棚村研究室と共同で47都道府県で7000人対象の意識調査を行ったほか、2021年には国会内では自民党含め、7つ党で国会議員向け勉強会を実施。現在メンバー登録者数は約600名。公式サイト:https://chinjyo-action.com/

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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