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民主主義はプーチン氏の専制主義に勝てるか~「冷戦後2.0」で試される覚悟と力量

ロシアのウクライナ侵攻に国や欧州、日本はどう対応するべきか

星浩 政治ジャーナリスト

 ロシアによるウクライナ侵攻が続き、民間人の犠牲者が急増している。国際社会はロシアへの批判を強めているが、プーチン大統領は武力による制圧という強硬姿勢を変えようとしない。3月10日にトルコで開かれたロシアのラブロフ外相とウクライナのクレバ外相との会談でも停戦に向けた前進は見られず、ロシアによる攻撃はやまない。

 私が「冷戦後2.0」と名付けた()新たな国際情勢の中で、民主主義の勢力が経済制裁などを駆使して専制主義を押さえ込めるかどうか。この局面で専制主義の対応を許せば、こんどは中国が力による現状変更を試みるだろう。米国や欧州、日本などの民主主義勢力は今、覚悟と力量が試されている。

〉「冷戦後2.0」の詳細は筆者の前稿「歴史の歯車を動かしたロシアのウクライナ侵攻~『冷戦後2.0』の世界と日本」で。

拡大evan_huang/shutterstock.com

ファシズム・共産主義と戦った民主主義陣営

 この100年の歴史の中で、米国や英国、フランスなどの民主主義陣営はまず、ファシズムとの戦争に直面した。ヒトラーのドイツ、ムソリーニのイタリア、そして日本との戦いを繰り広げた。

 フランスでは一時、ヒトラー・ドイツの傀儡(かいらい)政権が樹立されたが、ドゴール氏らは徹底抗戦した。英国もドイツからのミサイル攻撃に苦しんだが、耐え抜いた。米国主導の軍事作戦によって、最終的には民主主義陣営が勝利し、第2次世界大戦後の国際秩序が作られた。

 戦後は米国とソ連が角突き合わせる東西冷戦が始まった。欧州ではドイツが東西に分断されて対立。アジアでは朝鮮戦争、さらにベトナム戦争で東西両陣営の激しい対決が続いた。ソ連は共産主義陣営内のハンガリーやチェコスロバキアの民主化を弾圧するなど、東側の締め付けを強化した。米国は日本や西欧などの西側陣営を「反共」で束ねた。

 民主主義・市場経済の西側対共産主義・統制経済の東側の対決は西側の優勢に傾き、1989年には東西ドイツを隔てていたベルリンの壁が崩壊し、冷戦は終結した。ソ連は解体し、国連安全保障理事会の常任理事国はロシアに引き継がれたが、ウクライナやバルト3国などは次々と独立した。

「内向き」の傾向を強めた「冷戦後1.0」の米国

 冷戦終結の直後には、イラクのクウェート侵攻があったものの、米国中心の多国籍軍に押さえ込まれた。2001年には、イスラム過激派による米国同時多発テロが発生。ブッシュ(子)政権は、北太平洋条約機構(NATO)の主要国とともに、過激派の拠点だったアフガニスタンのタリバン政権を倒した。

 ブッシュ大統領はさらに、イラクのフセイン政権が大量破壊兵器を所持しているとしてイラクとの戦争にも踏み出した。ただ、これにはフランスやドイツが反対、欧米の結束は乱れた。結局、大量破壊兵器は確認されず、米国は戦費負担にも苦しめられ、威信は大きく低下した。

 「冷戦後1.0」ともいえるこの30年、米国は同盟国とともに共産主義を押さえ込み、インターネットの活用などによって経済の繁栄を謳歌した。だが、その半面、イラク戦争などを経て米国は「内向き」の傾向を強めていた。

拡大Amani A/shutterstock.com

※ロシアのウクライナへの軍事侵攻に関する「論座」の記事は特集「ウクライナ侵攻」からお読みいただけます。

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筆者

星浩

星浩(ほし・ひろし) 政治ジャーナリスト

1955年福島県生まれ。79年、東京大学卒、朝日新聞入社。85年から政治部。首相官邸、外務省、自民党などを担当。ワシントン特派員、政治部デスク、オピニオン編集長などを経て特別編集委員。 2004-06年、東京大学大学院特任教授。16年に朝日新聞を退社、TBS系「NEWS23」キャスターを務める。主な著書に『自民党と戦後』『テレビ政治』『官房長官 側近の政治学』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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