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平成の自公連立における公明党の存在感とこれから~連立政治の真価が問われる時

連立政権の20年余を振り返り、政治的課題を追い、令和の連立の姿を提起する

赤松正雄 元公明党衆院議員 元厚生労働副大臣

無念さが伝わってくる自公連立政権前半の総括

 自公連立政権の20年余は、2009年に民主党に政権を奪われるまでの約10年と、2013年に再度政権に返り咲いてからの10年ほどに二分される。

 1999年に公明党が与党入りをした際の「タテマエ」は、自民党政権単独では成り立ちゆかないから、請われるままに支えようということだった。一方、「ホンネ」は上から目線の自民党政治を庶民大衆向きのものに変え、内側からの改革を実行することにあった。

拡大連立政権に向け政策合意し握手する、左から小沢一郎・自由党党首、小渕恵三首相、神崎武法・公明党代表=1999年10月4日、首相官邸

 しかしその後、政権の脆弱性が露骨に現れ、民主党の台頭を許すことになり、「一度政権をとらせてみたら」との空気が蔓延(まんえん)して、自公政権の崩壊に繋がっていく。下野に際して、党をあげて「なぜ負けたか」を検証した報告(2009年10月)が興味深い。

 党社会保障制度調査会(坂口力会長)の報告書によると、「家計が悪化する中で、社会保障の自己負担増を強いられることになった。生活者の声を政治に反映する、という公明党に期待された力を十分発揮できなかったことは反省しなければならない」としたうえで、長きにわたる自民党政治の課題・問題点に対して、公明党の立場から改善を求めてきたが、「大枠の改革を実現するまでには至らなかった」と総括している。

 連立当初の公明党の思いが果たせなかった無念さが、極めて率直に伝わってくる。

年金・医療・介護・障がい者を巡る改革への否定的評価

 具体的には、年金、医療、介護、障がい者対応の4つのテーマにおける改革への取り組みの検証が行われているのだが、「失敗である」「反省する」との文言が随所に顔を出す。以下、それぞれ追ってみよう。

拡大党社会保障制度調査会(坂口力会長)の報告書
 年金では、制度改革(2004年)において負担増に歯止めをかけ、持続可能な制度にしたことに一定の評価は得られても、根本的課題については問題先送りとの批判があることを認めざるを得なかった。とりわけ、国民年金に加入する高齢者の不安解消については、「自民党との合意に至らなかったのは残念である」と悔しさを滲(にじ)ませ、自らの非力さを認めている。

 医療では、後期高齢者医療制度における保険料負担をめぐって、「個々の自治体や所得の相違から大幅に保険料が上昇する事態について十分把握されておらず、事後的な対応に追われたことは失敗である」と、明確に認めた。加えて、「新たな保険料負担が生じたという批判を受けることになったことは、事前の国民に対する説明が明らかに不足しており、政府・与党の失敗である」としている。歯切れがいい敗北宣言である。

 介護についても、「(介護保険制度が)『予防重視』の名のもとに、要介護認定が厳しくなるなど、給付を抑えることのみに目が向き、国民の意向に応えられない結果となったことは失敗である」と率直な捉え方を示した。

 さらに、障がい者対応については、「わが党には、恒常的に障がい者問題に取り組み反映させる機関が(05年4月まで)不在であった」こともあり、「現場の声がキャッチ出来なかったため、大きな制度改正の論議に耐えきれず、役所に主導権を取られた」とある。これほどまでにリアルな反省表現は、政党史の上であまりお目にかからないのではないか。

 ここで注目されるのは、少子化対策、つまり子育て対応については触れられていないことだ。この分野は、民主党に敗れた時点でも決して反省の対象ではなく、社会保障全般にあって、公明党が自信を持って推進してきていたことが分かる。

目を見張る成果があった子育て政策

 今から3年前、安倍首相は「全世代型社会保障」の構築を掲げて、人口減少と少子高齢化に向けての新たなグランドデザインを作ろうという構想を公にした。これに対して、公明党はいち早く注文をつけた。「中間提言」と言われるものである。

 ここでは、年金について、高齢者や女性の就業率上昇を踏まえた上での対策を強調し、パート労働者への被用者保険適用拡大を提唱した。また、在職老齢年金制度をめぐる諸課題の検証も呼びかけた。

 医療分野では、後期高齢者の窓口負担割合について、負担能力に応じた対応という観点で慎重な検討を求めていた。介護では、介護予防に取り組む市町村への支援拡充と、介護支援専門員(ケアマネージャー)の処遇改善を要望した。そして、子育て支援にあっては、幼児教育・保育無償化の着実な実施や、待機児童の解消に向けての多様な保育の受け皿整備を要請していた。過去に類例を見ない、世界でも群を抜く急激な変化への対応を求めたことがわかる。

 翌2020年に政府は「最終報告」を出している。それを見ると、残念ながら公明党の要求はほとんど反映されていない。75歳以上の医療費窓口負担増について、施行から3年間に窓口での緩和措置をもうけたぐらいしか見るべきものがないのである。それだけ、高齢化に伴う財政対応が困難だということなのではあろう。

 そんな中、少子化対応については、目を見張る成果があった。この点について、このほど公明新聞がまとめて発表した「自公連立通算20年ー子育て・教育支援 これだけ拡充 家計の負担軽く」(2-27付け)を見てみよう。

拡大公明党本部

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筆者

赤松正雄

赤松正雄(あかまつ・まさお) 元公明党衆院議員 元厚生労働副大臣

1945年兵庫県生まれ。慶応大学法学部政治学科卒。公明新聞記者、市川雄一衆院議員秘書などを経て、1993年衆院初当選。以来6期20年。公明党外交安保調査会長、同憲法調査会座長、厚生労働副大臣等を経て、2013年に引退。現在、一般財団法人「日本熊森協会」顧問、公益財団法人「奥山保全トラスト」理事、一般社団法人「安全保障研究会」理事等を務める。ホームページに毎週、読書録、回想記、思索録などを公開中。著書に、『忙中本あり』『77年の興亡ー価値観の対立を追って』など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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