歴史的愚行の早期終結を
2022年03月22日
2月24日にロシア軍がウクライナ侵攻を開始して4週間が経過した。各戦線ではウクライナ軍の激しい抵抗に遭遇し、ロシア軍の作戦は思った通りに進んでいない。この原因は米国や英国の軍事専門家がロシアの情報収集能力や作戦計画の杜撰さにあると分析している。
それではロシア軍のウクライナ侵攻開始から、現在までの作戦上の失敗の原因を考えてみたい。
まず、第一に言わなければならないことは、プーチン大統領以下のロシア政府首脳がウクライナ政府・軍及び国民を侮っていたということである。2014年のクリミア併合時に、ロシア軍は一滴の血も流さずに作戦を完了した。ハイブリッド戦を世界で初めて行い、作戦開発能力の高さも世界に示した。この結果をもって「ウクライナ政府及び軍は弱く、ウクライナ国民も抵抗しない」と判断したのであろう。国境付近に大規模なロシア軍を集結させて軍事的圧力をかけ、ウクライナ軍の戦意を失わせ、一挙にキエフなど主要都市に電撃的に部隊を進撃させれば、ウクライナ政府は短期間で白旗を上げると判断したのだと考える。多くの軍事研究家も同じ意見だと思う。
第二に、短期決戦構想に基づき全般作戦計画を立案し、戦力を北西部地域(キエフ付近)、北東部地域(ハリコフ付近)、東部地域(ルガンスクからドネツク)、南部地域(マリウポリからクリミア北部)に分散したことである。約19万人 の兵力を4個方面に分ければ1個方面の戦力は5万人 以下となる。キエフやウクライナ東部地域、あるいはクリミア方面に戦力を集中投入すれば戦況は大きく違っただろう。
第三に兵站支援の問題である。短期決戦構想のため、戦闘車両の武器・弾薬・燃料、兵士の糧食や飲料水の補給計画が完全ではなかった。作戦部隊が初度携行している弾薬・燃料などが切れた際の補給要領(前方支援地域の設定や補給路の安全確保)が詳細に検討されていなかったのではないだろうか。また故障した場合や戦闘で被害を受けた際の車両回収や整備なども詳細に計画されていなかったと思われる。
第四に、電子戦での失敗である。
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