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憲法審査会は「デジタル国民投票運動広告」の規制論議を始めよ

足踏みの自由討議から脱却し、小委員会で各論の深化を

南部義典 国民投票総研 代表

はじめに ~5年4か月ぶりの衆参連続開催

 3月23日、参議院憲法審査会で、翌24日には衆議院憲法審査会で、それぞれ自由討議*1が行われた。審査会の定例日は、第179回国会(臨時会、2011年10月20日召集)において実質的に始動して以降、参院が「水曜日」、衆院が「木曜日」とされており、国会の会期中であれば二日連続開催は決して珍しくないはずだが、具体的な議論が行われる回としては実に5年4か月ぶりのことであった。

 第192回国会(臨時会、2016年9月26日召集)において、参院憲法審で「憲法に対する考え方」について(同年11月16日)、衆院憲法審で「憲法の制定経緯と公布70年の振り返り」について(同17日)、自由討議がそれぞれ行われて以来のこととなる。もはや「定例日不開催」が慣例化している実態は、誰しも否定できないであろう。開催自体がニュース性を帯びるばかりか、その都度、委員の間から歓迎する声が上がり、与野党筆頭幹事に対して次週開催の要望が念押しされるのも、他の委員会では見られない皮肉(異様)な光景である。

衆院憲法審査会で、各党代表の討議を聞く森英介会長(中央)=2022年3月24日拡大衆院憲法審査会で、各党代表の討議を聞く森英介会長(中央)=2022年3月24日

テーマごとの小委員会設置が必要

 3月24日の衆院憲法審は「緊急事態条項を中心とした集中討議」として開催され、緊急事態下における①両院議員の任期の延長、②内閣による緊急政令の必要性、許容性に関する議論が行われた。次週(31日)以降、会期末(6月15日)までの安定開催はなお、予断を許さない状況であるものの、確固たる運営理念に則り、同一テーマで議論を継続できるかどうかは、大きな試金石となる。

 この点、内容上の賛否を留保しつつも、審査会本体による「足踏み自由討議」で終わることがないよう、運営上の工夫を求めたい。議論の受け皿として、「緊急事態条項」「国民投票法改正問題」といったテーマごとの小委員会を設け*2、本体同様に週一回の定例日において具体的「各論」を深化させるべきことを、筆者は改めて主張したい。

 かつて衆参両院に置かれていた憲法調査会は、5年間にわたる調査を踏まえて「報告書」を作成し、公表しているが(2005年4月)、憲法調査会の後継組織として誕生し、実質始動から10年を超える憲法審査会が、調査会の二倍を超える活動期間を経ながらも、定例日開催さえ覚束ず、たとえ開催されたとしても単発的な自由討議で終わるのが通例というのは、あまりに非生産的に過ぎる。開催する実益に乏しく(その内容は記録には残るが、記憶には残らない)、審査会自体(ひいては議院)の権威を棄損するものと言わざるを得ない。

 また、憲法改正の具体的内容に関する事項と、その手続きを定める国民投票法の改正問題が同一の場で議論されること自体、同法に徹底して求められる公正さ(賛否中立)の理念を動揺させる点も看過できない。これを機に将来にわたって、別個の小委員会として議論の受け皿を明確に分離すべきである。

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筆者

南部義典

南部義典(なんぶ・よしのり) 国民投票総研 代表

1971年岐阜県生まれ。衆議院議員政策担当秘書、慶應義塾大学大学院法学研究科講師(非常勤)等を経て、2020年より現職。『改訂新版 超早わかり国民投票法入門』(C&R研究所、2021年)ほか著書多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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