大野博人(おおの・ひろひと) 元新聞記者
朝日新聞でパリ、ロンドンの特派員、論説主幹、編集委員などを務め、コラム「日曜に想う」を担当。2020年春に退社。長野県に移住し家事をもっぱらとする生活。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
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来日公演に向けて熱心に語ったのは、20世紀を代表する作曲家のひとりプロコフィエフについてだった。交響曲の全曲演奏などがプログラムに組まれていたからだが、音楽家としての自分の姿を重ねているようにも見えた。
プロコフィエフは帝政ロシア時代のウクライナに生まれ、音楽家として若いときから注目された。ロシア革命が起きると、その混乱から逃れアメリカやフランスで暮らし活動していた。だがその後、新生ソ連に帰る。
「革命後の祖国に戻ったとき、彼は深く苦しんだでしょう。なぜなら、彼の愛したロシアを見つけることができなかったからです。でも彼は作曲に専念した。クレムリンにいるのがスターリンだろうとレーニンだろうと、どうでもよかった。自分には作曲があると思ったのです」
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