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忍耐が問われるウクライナ戦争

西側国民は高まるインフレ圧力に耐えていけるか

花田吉隆 元防衛大学校教授

 ウクライナで連日激闘が繰り広げられる中、西側の制裁が効果を表すには時間がかかる。ウクライナ戦争は西側とロシアの国民の忍耐の戦いだ。どちらが先に音を上げるか。今、物価高騰の波が世界を襲う。西側の国民、就中(なかんずく)、米国民がこれに音を上げるようなことがあってはならない。

ある気がかりな米国の数字

 11月の米国中間選挙まであと半年余りとなった。ウクライナ戦争が起こり、さぞやバイデン大統領の支持率も上昇かと思いきやそうでない。米国の経済専門チャンネルCNBCが行った4月初めの調査では38%と依然振るわない。戦争が起きる前、中間選挙での民主党敗北が予想されていたが、それは今もって同じだ。何やら湾岸戦争当時のブッシュ政権を思わせる。

拡大国民に向けて湾岸戦争の終結について演説するブッシュ大統領=1991年2月27日、ワシントンDC mark reinstein/shutterstock.com
 無論、当時と今は事情が異なる。湾岸戦争が戦われた時、ブッシュ氏の支持率はうなぎのぼりに上がった。1991年の終戦時には実に89%の人がブッシュ氏を支持した。ブッシュ氏にとり問題は戦後だ。戦争が終わり、急速に人々の関心が経済に向かった。当時、米国経済は思わしくなかった。かくて、クリントン氏が出てきて「ばかめ、問題は経済なのだ」とうそぶいた。結果は、あれほどの高支持率を誇ったブッシュ氏があえなく選挙で敗退した。

 今回、バイデン氏はウクライナ戦争の渦中にある。それでいてなお、支持率が上がらない。湾岸戦争では、米軍が出動したが、今回はそうでない。だから米国民には「(送り込んだ)息子が生きるか死ぬか」の緊迫感がない。所詮、海の向こうの遠い国の出来事だ。気がかりな数字がある。ウクライナ戦争が激しさを増した3月時点でのギャラップ調査によれば、「今、最も重要な問題は何か」との問いに対し、ロシア問題(Situation with Russia)と答えた米国民はわずか9%でしかなかった(一方、経済問題〈ECONOMIC PROBLEMS〉は合計で35%。これについては後述する)。3月末にクイニピアック大学が実施した調査では14%だ。

拡大ホワイトハウスで演説するバイデン米大統領=4月8日、ワシントン

 これはやや意外だ。無論、今の最優先課題は何か、と聞かれた国民が、外国の戦争でなく自分の生活と答えるのは考えられないわけではない。フランスでも大統領選挙の決選投票を前に、物価高騰が急速に選挙の焦点に浮上している。

 しかし、米国では

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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