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最低賃金の1500円への引き上げは日本経済回復の万能薬~末松義規・落合貴之対談

平均930円から年に100円ずつ上げて全国一律1500円に。財源は国庫から支出

落合貴之 立憲民主党衆院議員

欧米並みの1500円に

落合 現状では労働者の4割ぐらいが非正規雇用です。最低賃金アップは彼・彼女たちの賃金を上げることにつながり、全体の底上げにとって有効です。目標を1500円にした根拠は。

末松 OECD(経済協力開発機構)諸国の最低賃金額を見ると、アメリカのカリフォルニア州が15米ドル、約1700円(2022年1月)で一番高い。次いで、オーストラリアの約1680円(2021年7月)、米ワシントン州の約1660円(2022年1月)。イギリスは約1480円(2022年4月)。フランスは約1370円(2022年1月)、1400円弱ですね。ドイツが1280円(2022年1月)です。ちなみに、ドイツは7月から約1360円に、10月に1500円まで引き上げる法案を提出しています。

 日本の1500円は、これらの数字をもとに出した金額。6年という時間はかけますが、遅まきながら欧米の水準にもっていこうと、考えているわけです。

落合 現行の最低賃金で暮らしていくのはかなり苦しい。フルタイムで働いても年間200万円に届きませんから。1500円になれば、年間300万円になる。

末松 厚労省の計算方式でいくと、最低賃金1000円だと月収約14万で年収196万。最低賃金が1500円になると、月収26万円で年収が313万円。ここまでいけば、それなりに基本的な生活はできると思います。

落合 1500円にするまでに6年をかけるのは?

末松 2年間で最低賃金を29%上げた韓国では、経済的に無理があるという批判がありました。ドイツでも7月と10月に最低賃金を引き上げること、それも企業の努力だけでやらせることに対し、様々な反発が起きる可能性があると言われています。これらを勘案し、毎年100円ずつ上げる漸進的な方法が、日本社会にとってはいいのではないかと判断しました。

拡大末松義規さん

財源は国家からの補助で

落合 中小企業に対しては、引き上げの財源を国庫から補助するというのが、この政策のひとつの「キモ」ですね。

末松 はい。最低賃金レベルの厳しい生活を送っておられる方がいま、2000万人ぐらいおられる。この方たちの賃金を上げるのに幾らかかるか、国会職員に手伝ってもらって推計したところ、社会保険料の手当ても含めて6年間で25兆円ぐらいになります。年間だと4兆円ほど。これを「最低賃金国債」でまかないます。

落合 中小企業は実は労働分配率が結構高い。だから、最低賃金を上げる場合、少なくとも中小企業に対しては補助をしないと、耐えられません。

末松 1200万の中小企業の方々には直接、国の資金を投入し、負担はかけません。私の街頭演説に怒った中小企業の親父さんたちも、喜んでもらえると思います。

 6年かけて上げた時点で、経済状況が現在より2、3割よくなっていれば、今度は数年間かけて補助金をゼロしていきます。それも、あらかじめ企業の皆さんにも承知してもらいながら進めていくので、無理がない政策になると思います。

「善の循環」で強い経済を回復

拡大落合貴之さん

落合 最低賃金レベルの厳しい生活を送っている方々は、高所得者と比べて所得を貯金に回すよりも消費に回す率が高いですね。

末松 そうです。だからこそ、最低賃金が上がれば、企業のモノやサービスが売れるようになる。企業の業績が上がって賃金が上がる。こうした「善の循環」を、なんとしても日本で実現したい。それによって足腰の強い経済を回復したいというのが一番の主眼です。

落合 コロナ禍初期の2年前、一人あたり10万円を給付した時にかかったお金は10兆円ちょっと。国庫から年間4兆円の補助というと、その半分以下の財政支出です。それで、実は貯蓄に回る率が高かったといわれる10万円給付よりも、効果が期待できるわけですね。

末松 6年間25兆円の投資でどれぐらいの経済波及効果を試算してみたら、56兆円になりました。投資した額の倍の効果があるかたちです。さらに600万人以上の労働者が、いわゆる「貧困ライン」を超えることも分かった。いろんな面で、「ウィンウィン」なのですが、自民党はこれができない。

拡大umaruchan4678/shutterstock.com

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筆者

落合貴之

落合貴之(おちあい・たかゆき) 立憲民主党衆院議員

1979年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。三井住友銀行行員、衆議院議員江田憲司秘書などを経て、2014年衆院議員初当選、現在3期目。衆議院経済産業委員会野党筆頭理事、党政調副会長など歴任。著書に『民政立国論 一人ひとりが目指し、挑み、切り拓く新世界』(白順社)。東京6区。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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