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中国は台湾に攻め込めるか

ロシアのウクライナ侵攻から中国が得ているはずの“教訓”を考える

山下裕貴 元陸将、千葉科学大学客員教授

 ロシアによるウクライナ侵攻が開始されて2カ月が過ぎた。ロシア軍は緒戦の失敗から作戦計画を大きく修正してキーウ方面から部隊を撤退させ、戦線を整理し東部地区に戦力を集中している。また4月21日には、ウクライナ南東部の要衝マリウポリ市を完全掌握したとして、部隊を同じく東部地区に移動させているものと思われる。

 タス通信によるとロシア中央軍管区副司令官は「(東部)ドンバス地方やウクライナ南部の完全制圧を目指す」と宣言した。ロシア軍は緒戦の北部地区の敗退から立ち直り、東部及び南部地区で大規模な攻勢作戦に出ようとしている。

 中国の立ち位置はロシアのウクライナ侵攻以来、一貫してロシア側にあるといえる。4月21日に海南省で開かれた国際会議「ボアオ・アジアフォーラム」の開幕式で習近平主席はビデオ演説し、米欧や日本が科した対露経済制裁を念頭に「一方的な制裁の乱用に反対する」と批判していることからも明白である。

「武力行使も辞さない」と中国軍トップ

中国と台湾拡大Rich T Photo/shutterstock

 中国共産党は創立100周年記念式典において台湾の統一は歴史的任務と表明している。台湾海峡の幅は狭い所で約130キロ。潮の流れは速く、冬場は強風が吹き荒れ、波が高く濃い霧が発生し、夏場は幾つもの台風が通過する。このため揚陸艦隊の渡海には長時間を要し、整斉とした艦隊行動及び航空機の運用に制約を受ける。台湾へ上陸侵攻する側には極めて厳しい地形・気象である。

 中国は台湾の独立を阻止するために「反国家分裂法」を制定(2005年)し、人民解放軍統合参謀長も「平和的再統一の可能性がなくなった場合には武力行使も辞さない」(2020年5月)と発言している。侵攻するには厳しい条件があるが、軍事作戦による台湾侵攻を行う場合があるということである。

 第二次世界大戦後、初めてとなる欧州における本格的な国家間戦争であるロシアのウクライナ侵攻。圧倒的な火力を投入してもウクライナ軍は崩壊せず善戦し、一部では反撃している。中国はこの戦争からどの様な教訓を得ようとしているのだろうか。四つの軍事的な視点から考察してみたい。

「論座」では、ロシアのウクライナへの軍事侵攻に関する記事を特集「ウクライナ侵攻」にまとめています。ぜひ、お読みください。

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筆者

山下裕貴

山下裕貴(やましたひろたか) 元陸将、千葉科学大学客員教授

1956年宮崎県生まれ。1979年陸上自衛隊入隊、自衛隊沖縄地方協力本部長、東部方面総監部幕僚長、第3師団長、陸上幕僚副長、中部方面総監などを歴任し2015年に退官。現在は千葉科学大学客員教授、日本文理大学客員教授。著書に『オペレーション雷撃』(文藝春秋)など。アメリカ合衆国勲功勲章・功績勲章を受章。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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