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組織政党の公明党と日本共産党は議員教育でどのように創意工夫しているのか?

「政党」としての公明党~一学究の徒の政治学研究【5】

岡野裕元 一般財団法人行政管理研究センター研究員

日本共産党の議員教育は……

拡大日本共産党京都府委員会=2022年4月25日、京都市中京区丸太町、筆者撮影
 次に日本共産党について述べる。公明党同様、組織政党である共産党も、議員教育(研修会)が相当程度充実している。さらに、議員に選出される以前から、一般党員レベルで学習活動が展開されている。そこで同党の組織力が強い京都府を対象に、寺田茂・京都府委員会副委員長、青柳創造・京都府委員会常任委員に話をお聞きした(2022年4月25日インタビュー(筆者取材)。以下同じ)。

 なお、筆者の近刊予定論文(岡野裕元「日本共産党のマルチレベルにおける党内ガバナンス——候補者リクルート、地方議員教育、補佐・支援体制にも着目して——」学習院大学大学院政治学研究科『政治学論集』第35号)においても、日本共産党中央委員会と京都府委員会での党内ガバナンス、地方議員教育や候補者リクルートなどを詳しく扱っている。

 共産党は、京都市内で1学区内に4支部あるような地域も存在する。ちなみに、都道府県別での共産党得票率(2019年参議院選比例区)は、京都府(17.50%)、高知県(15.12%)、北海道(11.58%)、東京都(11.30%)、長野県(11.09%)が上位に並んでいる。

 京都の共産党を振り返ると、革新知事である蜷川虎三知事(1950年~1978年)のもとで7期28年、知事与党として府政を支えている。また、中選挙区時代に定数5の衆議院旧京都1区での複数人当選、衆議院京都3区(定数1)や参議院京都選挙区(定数2)での当選実績もある。

 京都府内の地方議会の共産党議席獲得状況(2021年7月1日現在)を確認すると、5分の1が同党議員である。また、京都市議会(定数67)では第2党(18議席)で、第1党の自民党(21議席)との議席差はわずか3(2022年5月18日現在)。府内の全市町村議会で共産党議員がいないところは皆無である。府議会(定数60)も、共産党は第2党(12議席)である。

党員教育のカリキュラムは「4科目」

 全国の党員が学ぶカリキュラムは、①党綱領、②科学的社会主義、③党史、④規約と党建設――の「4科目」だ。

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筆者

岡野裕元

岡野裕元(おかの・ひろもと) 一般財団法人行政管理研究センター研究員

1989年千葉県佐倉市出身。学習院大学法学部卒業。学習院大学大学院政治学研究科政治学専攻博士後期課程修了、博士(政治学)。現在、一般財団法人行政管理研究センター研究員のほか、報道番組の司会者の政治アドバイザーも務める。元青山学院大学文学部・学習院大学法学部非常勤講師。専門は、地方政治、政治学。著書に、『都道府県議会選挙の研究』(成文堂)、『官邸主導と自民党政治――小泉政権の史的検証』(共著、吉田書店)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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