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議員政党の立憲民主党は国政・地方でどのように新人議員を教育しているのか?

「政党」としての公明党~一学究の徒の政治学研究【6】

岡野裕元 一般財団法人行政管理研究センター研究員

詳細な調整が行われる与党事前審査制

 立憲民主党が新人国会議員の教育に力を入れるのはなぜか。それは、①与党事前審査との質的な差、②国会の質問機会の与党との差、③質問時間の与野党配分――という三つの事情から説明することが可能である。以下、説明する。

 まず、与党事前審査との質的差についてである。

 与党の自民党と公明党の場合、党内・各府省が一体となった与党事前審査制の過程で詳細な調整を行い、与党内で合意した後、閣議決定に至る。

 公明党の竹谷とし子・参議院議員によると、公明党の「部会における一般的な法案の審議例としては、「『①法案について省庁から事前に概要について説明を受け、論点整理、②論点にそって関係者と意見交換、③論点や関係者の意見を踏まえ、省庁と意見交換、④省庁がまとめた法律要綱案について説明を受け、さらに意見交換(党の意見が反映されているかチェック)、⑤法案(条文)審査、⑥部会了承、⑦政調部会長了承』という流れで行われている」といい、かなり詳細に展開されている(岡野裕元「公明党の立体的政策形成――「ヨコ」関係の軸となる国会議員・地方議員・事務局との協働ネットワーク――」奥健太郎・黒澤良[編著]『官邸主導と自民党政治――小泉政権の史的検証』吉田書店、2022年、p.464)。

 読売新聞によると、自民党の下村博文・衆議院議員も自民党の「『部会で鍛え上げられ、鋭い質問ができるようになる。部会は人材育成の役割も担っている』と強調」している(「『質問力』向上余裕なく」『読売新聞』2022年4月14日朝刊)。与党で部会が果たす役割は、単なる党内調整のみならず、議員教育の上でも依然として重要だ。

政務調査会の法案審査のやり方

 立憲民主党の法案審査は、政務調査会(部会→政調審議会)で行われる。基本的なやり方は、野党・旧民主党時代とほとんど変わっていないようである。

 政府側から「国会へ法案を提出したので説明させてほしい」という話がくる。国対は、審議日程との関係があるため、審議の見通しがついたら政府側に説明の了解を出す(広い意味での「吊るし」)。国対と政調が連携し、党内審査が開始する。

 部会では、説明と質疑が行われ、法案の内容次第では1回で終わるものもあるが、重要法案については、何度も党内議論をし、有識者や関係団体からのヒアリングも行われることもある。部会長や部会内の役員会は議論の方向性を決め、部会で最終的に賛否を決める。

 通常、部会では多数決をとることがあまりなく、部会長に一任という対応も多いという。1年生議員にとって勉強になる機会は、有識者・関係団体からのヒアリング▽先輩議員の議論を聞く▽国会の所属する各委員会の質疑を聞く、といったところだ。

 部会を通過した法案は、政務調査審議会(毎週木曜日に実施、政調役員と部会長が出席)にかけられ、部会長が報告。それに対し、了承される(時々、「待った」がかけられることもある)。法案審査は、政調審議会の段階で正式決定される。その後、執行役員会(毎週月曜日)、常任幹事会(隔週火曜日が多い)へと報告される。ただし、党規約第12条3項には、「執行役員会は、政策に関して特に重要と判断する場合、その審議決定を常任幹事会に要請することができる。この場合、常任幹事会の決定をもって政務調査審議会の決定に代える。」との規定もある。

 「政策の議論は行っていますし、国会で法案提出も行っていますし、日々の積み重ねです」と小川政調会長は語る(2022年4月28日インタビュー・筆者取材)。

拡大CAPTAINHOOK/shutterstock.com

大政党と中小政党にある質問機会の差

 次に、二つ目の国会の質問機会の差について。これは、会派単位で活動する国会の仕組みとも関係する。具体的には、大政党と中小政党の間の差である。

 中小政党の公明党の場合、太田昭宏・前代表が次のように証言する(岡野裕元「公明党の立体的政策形成――「ヨコ」関係の軸となる国会議員・地方議員・事務局との協働ネットワーク――」奥健太郎・黒澤良[編著]『官邸主導と自民党政治――小泉政権の史的検証』吉田書店、2022年、pp.462-463)。

 国会の委員会でも議員数が少ないから、一年生から委員会の理事や党の部会長を務める。これは自民党とは全く違うことですね。通常国会を二~三回経て、初めて国会のことがわかるようになると思う。地元の要望や議員の生活リズムの面についても、同様だと思う。公明党議員の場合は、一年生から責任ある立場に就くから、議員数の多い自民党よりも早く経験が積めると思う。国会での質問回数も多いし、恵まれていると思います。

 中小政党であることのメリットは、与党・公明党だけでなく、野党・日本共産党も同様に享受している。

 日本共産党では、国会議員秘書の役割が他党よりも大きく、国会議員と秘書が協力しながら質問づくりを進める特徴がある。(筆者近刊予定論文〈岡野裕元「日本共産党のマルチレベルにおける党内ガバナンス——候補者リクルート、地方議員教育、補佐・支援体制にも着目して——」学習院大学大学院政治学研究科『政治学論集』第35号〉)。例えば、田村智子・副委員長・政策委員長(参議院議員)の事例でも、国会開会中は秘書と協力しながら質問作成に勤しんでいた(同上)。

 ちなみに、第208回国会の衆議院総務委員会(40人)の各会派所属人数は、自民23、立民8、維新4、公明3、国民1、共産1である(衆議院HP「委員会名簿 総務委員会」令和4年2月2日現在(参照 2022年4月16日閲覧)。大政党の自民党の場合、計算上、議員1人当たりの質問回数に制約が生じることになる。

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筆者

岡野裕元

岡野裕元(おかの・ひろもと) 一般財団法人行政管理研究センター研究員

1989年千葉県佐倉市出身。学習院大学法学部卒業。学習院大学大学院政治学研究科政治学専攻博士後期課程修了、博士(政治学)。現在、一般財団法人行政管理研究センター研究員のほか、報道番組の司会者の政治アドバイザーも務める。元青山学院大学文学部・学習院大学法学部非常勤講師。専門は、地方政治、政治学。著書に、『都道府県議会選挙の研究』(成文堂)、『官邸主導と自民党政治――小泉政権の史的検証』(共著、吉田書店)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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