落合貴之(おちあい・たかゆき) 立憲民主党衆院議員
1979年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。三井住友銀行行員、衆議院議員江田憲司秘書などを経て、2014年衆院議員初当選、現在3期目。衆議院経済産業委員会野党筆頭理事、党政調副会長など歴任。著書に『民政立国論 一人ひとりが目指し、挑み、切り拓く新世界』(白順社)。東京6区。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
野党4党が消費税率引き下げを盛り込んだ法案を国会に提出。なぜ今、消費税減税なのか
深刻さを増す物価高騰への対策として、立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党の野党4党が10日、10%の消費税率を当分の間、5%に引き下げることなどを盛り込んだ法案を、共同で衆議院に提出しました。
そこで、国会議員が政治課題とその解決策について論じるシリーズ「国会議員、課題解決に挑む~立憲民主党編」の落合貴之衆院議員による緊急連続対談「いま必要な経済政策は?」では、今回、階猛衆院議員と消費税減税について対談しました。
財政再建を重視する立場から消費税減税に懐疑的だった階さんは今、物価高への有効な対策は時限的な消費税減税しかないと言い切ります。なぜ、そうなのか? アベノミクスが抱える問題も含めて、落合さんととことん議論していただきました。コメント欄にもぜひ、ご意見をお寄せください。(論座編集部)
(構成 論座編集部・吉田貴文)
階猛(しな・たけし) 立憲民主党政務調査会長代行、衆院議員
1966年生まれ。盛岡一高野球部、東大野球部で投手。東大法学部卒。勤務先の長銀が経営破たん後、企業内弁護士として活動。2007年衆議院補選で民主党から立候補して初当選。民主党政権で総務大臣政務官、民進党政調会長、国民民主党憲法調査会長などを歴任。当選6回。岩手1区
落合 「論座」の連続対談「いま必要な経済政策は」の第3回は、深刻の度を増してきた物価高の問題について、階猛さんとともに考えます。僕は毎日、スーパーで買い物をしていますが、このところ様々なモノの値段が上がっているのを肌身で感じるようになっています。
階 そうですね。スーパーで買う食料品だけでなく、電気代もかなり上がっています。これからますます上がりますよ。
落合 物価が上がるのに、賃金は上向かない。立憲民主党はこうした現状を「岸田インフレ」と名付けて、政権を批判してきました。7月の参院選でも「物価高」を争点に掲げます。
そんななか立憲民主党は10日、消費税減税法案を衆議院に提出しました。消費税減税は「岸田インフレ」に対して最も有効であり、かつ今はこれしかない政策だと、考えています。なぜ、そうなのか。少し長くなりますが、説明したいと思います。
落合 まず物価の現状を見てみます。4月の消費者物価(生鮮食品を除く)は前年同月比で2.1%増と、3月の0.8%増から一気に上昇しました。日本銀行が目標にしてきた2%増を越えた形です。また国内企業物価は前年同月比10%の上昇で、比較可能な1981年以降最大の伸び率。統計が開始された1960年以降の最高を記録しています。消費者も苦しいですが、中小企業も厳しい状況に追い込まれています。
物価上昇には大きく二つのタイプがあります。ひとつは、経済が好調で、皆がどんどんモノを買うために価格が上がるタイプ。需要に供給が追いつかずに生じる物価高です。もうひとつは、需要は増えていないのに、モノをつくるコストが上がって、価格が上がるというもの。いわゆるコストプッシュ型の物価高です。
今回の物価高は後者です。コロナ禍で世界的にサプライチェーンが毀損したところに、ロシアのウクライナ侵攻が重なり、原材料やエネルギー、食料品が逼迫、価格が上がりました。くわえて、円安が急速に進み、輸入価格を押し上げました。まさしく「悪い物価上昇」の典型です。