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物価高騰に対応するには消費税の引き下げしかない!~階猛・落合貴之対談

野党4党が消費税率引き下げを盛り込んだ法案を国会に提出。なぜ今、消費税減税なのか

落合貴之 立憲民主党衆院議員

物価上昇以上の賃金増を実現できなかったアベノミクス

落合 アベノミクスの最大の弱点は物価の上昇以上の賃金上昇を実現できなかったことです。結果として、人びとの購買力は上がらず、景気の好循環が生まれなかった。国民の実質的な所得は下がり、個人消費は減り、貯蓄ゼロの世帯が増えてしまいました。

 年金生活者の状況も深刻です。かつては物価が上昇すると年金も上がりましたが、今は物価と現役世代の賃金が上がらないと年金額は上がらないシステムです。その結果、物価は上がったが賃金は下がったこの春は、年金支給額が減ってしまいました。

 とすれば、物価上昇を抑制するか、賃金を上げることが必要になります。一般的に、物価上昇を抑制したい時は、中央銀行が金利を上げます。需要を抑制し、物価を下げるわけです。現にアメリカはインフレ抑制のために金利を上げている。ただ、ここで留意するべきは、アメリカはコロナ禍でも5.7%成長をしていたので、利上げの余地があったという点です。

拡大落合貴之さん=衆議院議員会館

経済が悪いなか物価上昇を抑制するために

落合 これに対し日本は、コロナ前の2019年の消費税増税で景気が減速したところにコロナに見舞われ、経済が悪いままです。とても金利を上げられる状況にありません。では、どうするか。立憲民主党で議論した結果、出した結論が消費税減税でした。

 価格には消費税分が含まれているので、消費税を5%下げたら、物価も5%近く下がるはずです。当然、購買力も高まります。また、消費税は売り上げにかかるので、税率が下がると事業者の資金繰りも劇的に改善します。

 消費税減税についてはこれまでも賛否両論がありましたが、今のタイミングだったら、いい面が悪い面より多いのではないかと思います。階さんも以前は消費税減税に懐疑的でしたが、今は容認していると認識しているのですが……

岸田首相は「悪い物価上昇」を認めないが……

 私はもともと財政健全化を重視する立場で、消費税の減税には懐疑的でした。しかし事ここに至っては、消費税減税しかないと思っています。どうして、そう思うに至ったのか。

 現在の物価上昇が、需要が供給を上回るために起きる「良い物価上昇」でないことは、落合さんが指摘された通りです。資源高や円安の結果、物価が上がる「悪い物価上昇」に他なりません。ただ予算委員会で質問しても、岸田文雄首相はそれを認めず、「日本は諸外国と比べて比較的、消費者物価は低く抑えられている」と言います。

 でも、それは大きな間違いです。消費者物価、企業物価、輸入物価の三つの物価の動きを見ると、輸入物価は45%も上がっているのに対し、消費者物価は2.1%しか上がっていません。これは企業が、原材料などの上昇分を小売価格、販売価格になるべく転嫁しないようにして、価格の上昇を抑えているからです。

 その分、企業の儲けは減ります。儲けが減ると、従業員の賃金は上げられないどころか下がる。消費者物価が低く抑えられている背後で、ますます給料は減り、需要が落ち込んで、経済が悪化する悪循環が生じています。

日銀が陥ったジレンマ

 また、日銀の黒田東彦総裁は金融緩和を続ける構えですが、こちらも隘路(あいろ)に入っています。

 日銀は今、短期金利はマイナス、10年の金利は0.25%を上限にそれ以上は上がらない「指値オペ」をおこなっています。海外の金利が金融引き締めで上昇するなか、日本との金利差が拡大し、円が売られて円安が進んでいますが、円安になると、ただでさえ高い輸入物価がさらに高くなる。先ほど述べた輸入物価の45%増のうち三分の一の15%は円安の影響。つまり、日銀の金融緩和が物価高をかさ上げしているのです。

 とはいえ、需要が弱い現状で金利を上げると、需要がさらに下がり、企業の業績悪化、ひいては給料の減少を招く。現在は、金融緩和も金融引き締めもいずれも経済に望ましくない影響を与えるというジレンマに陥っています。

拡大対談する階猛さん(右)と落合貴之さん=衆院議員会館

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筆者

落合貴之

落合貴之(おちあい・たかゆき) 立憲民主党衆院議員

1979年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。三井住友銀行行員、衆議院議員江田憲司秘書などを経て、2014年衆院議員初当選、現在3期目。衆議院経済産業委員会野党筆頭理事、党政調副会長など歴任。著書に『民政立国論 一人ひとりが目指し、挑み、切り拓く新世界』(白順社)。東京6区。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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