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山口二郎・神津里季生対談~野党は参院選にどう臨むべきか、争点は何か

朝日カルチャーセンター千葉教室「緊急〝討論〟」から

松下秀雄 「論座」編集長

労組は自民に近づこうとしているのか

拡大自民党の会合に出席後、記者団の取材に応じる連合の芳野友子会長=2022年4月18日、自民党本部

 山口)国民民主党が与党志向を強めていることと、たとえば芳野会長が自民党の会合に呼ばれて講演したという話をくっつけて、労働組合の一部が自民党に近づこうとしているという疑念を招きます。

 神津)芳野会長と麻生太郎・自民党副総裁が会食したことがメディアにとりあげられたけど、私も麻生さんを含めて自民党幹部と会食したことは、当方の申し出も含めて何度もある。私がやってきたことと、芳野会長がやっていることにさほど変わりはありません。

 山口)マスコミからは、連合会長は野党協力に否定的だとさんざんいわれ、衆院選に明らかにマイナスでした。トヨタ労組出身のベテラン議員、古本伸一郎さんが突然、衆院選への立候補を見送った。そして今年の通常国会では国民が予算に賛成した。野党陣営の混迷は、労働界の側にも原因があるんじゃないか、民間産別の反対で立憲民主党への結集が不十分に終わって以来、一貫した筋があるんじゃないかとみえるのですが、うがちすぎでしょうか。

 神津)うがちすぎだと思います(笑)。古本氏が出馬をとりやめたのには私も仰天しましたが、出身元の事情としかいいようがない。芳野会長が基本的にこれまでの路線を踏襲していることは間違いありません。だけど、メディアの捉え方はいま先生がおっしゃったような感じになっています。いったん政治部が「こうだ」と言ったら、それと違うコメントをしても、なかなかメディアに採り上げられないんですよ。かなり誤解されている。

 自民党に接近はしていないんです。自民党が近寄ってきているだけ。向こうがすり寄ってきているなというのは、ほんとうにそう思っています。

衆院選では「閣外協力」問題が勢いをそいだ

拡大市民連合との共通政策に合意し、握手する(前列左から)SEALDsの諏訪原健さん、社民・又市征治幹事長、民進・岡田克也代表、共産・志位和夫委員長、生活・小沢一郎代表、安保関連法に反対するママの会の西郷南海子さん=2016年6月7日、東京・永田町

 山口)私は2016年に市民連合を立ち上げ、1人区、小選挙区の野党協力を媒介してきました。神津さんは旧民主党系の立憲民主と国民民主を束ね、私は立憲と共産の間にコミュニケーションの回路をつくる分業をしてきたと思う。

 連合の中にもいろんな議論があったけれど、神津さんはわりとリアルに割り切って、選挙協力は政党の問題だからと切り分けてくれてやりやすかった。昨年4月の衆参補欠選挙まではうまく進んだと思います。

 神津)連合は共産党と歴史的な経過があるから、ダイレクトに力をあわせるような関係ではない。かといって選挙において非常に問題がある政権与党に漁夫の利を与える愚を犯すことはいかがか。漁夫の利を与えないということにおいて、山口先生と考え方は一致していたということだと思います。

 山口)昨年10月の衆院選では立憲が議席を減らしました。どうご覧になっていますか。

 神津)枝野代表と志位和夫委員長が会談し、立憲民主党が政権をとった場合、共産党は市民連合と合意した政策を実現する範囲で限定的な閣外からの協力をするということになった。文言を子細に点検すれば間違ったことはぎりぎりのところでいっておられないが、新聞の見出しとしては縮めて「閣外協力」となってしまう。おそらく枝野代表が意図したことと、有権者が受けた印象にかなりのギャップができてしまった。

 山口)そこは私も残念でした。共産党を批判するつもりはまったくないけれど、政権にかかわる、支えるというときに、自衛隊などいくつかの基本的な課題について、党の見解と政権の論理とをどう整合させるのか、私からみれば十分に詰まってない。そのへんが昨年の衆院選で露呈したことが、最終段階で勢いをそがれた原因のひとつだと思います。

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筆者

松下秀雄

松下秀雄(まつした・ひでお) 「論座」編集長

1964年、大阪生まれ。89年、朝日新聞社に入社。政治部で首相官邸、与党、野党、外務省、財務省などを担当し、デスクや論説委員、編集委員を経て、2020年4月から言論サイト「論座」副編集長、10月から編集長。女性や若者、様々なマイノリティーの政治参加や、憲法、憲法改正国民投票などに関心をもち、取材・執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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