ロシアの戦略を核保有検討国が注視するこれだけの理由
2022年06月22日
一度始めた戦争をどう終わらせるか、それは必ずしも容易でない。勝敗がはっきりついていればともかく、そうでない場合、戦いはずるずると果てしなく続く。戦闘の観点だけでなく、これに政治の観点も加えて幕引きをどの時点で図るかとなると、色々な要素もあって解を見つけるのはなかなか難しい。
今の時点で、西側が足並みの乱れを見せることが得策でないことは明らかだが、それとは別に、ウクライナ戦争が今後如何なる展開をたどるかを考えておくことは必要だ。
ウクライナは、ロシアが侵攻を開始した2月24日前の状態に戻せば停戦協議に応じるという。しかし、ロシアは、目に見える成果がないと戦いを止めるわけにはいかないだろう。そうでなければ、何のための戦争だったかということになり、プーチン大統領自身の身が危うくなる。
これに欧州各国の思惑が絡む。主戦論の、ポーランド、バルト3国等は、この際ロシアを弱体化させなければ明日は我が身だ、程々で矛を収めるなどとんでもないという。これに対し、早期停戦論のフランス、ドイツ、イタリア等は、国内におけるインフレの高まりへの不満もさることながら、ロシアを追い詰めれば核のボタンに手をかけかねない、それだけは避けなければならないという。
確かに、ロシアを追い詰めるのは危険だ。窮鼠猫を噛む、のたとえにある通り、ロシアが「存在の危機」に晒されていると思えば、破滅よりは核攻撃を選ぶかもしれない。鼠を袋小路に追い詰めることは、場合によっては第3次世界大戦の火ぶたを切りかねない。
主戦論者は、ロシアに核のオプションはないだろうという。ロシアの本質は、あくなき自己防衛だ。常に外敵の侵略に怯え過剰なまでに防衛しようと身構える。だから少しでも領土を広げておきたいとのロシア帝国主義が生まれる。
ロシア帝国主義は、防衛本能から出ているから、ロシアが、自らが破滅するかもしれない危険を冒してまで核のボタンを押すことはないだろう、とする。ロシアの本質が、防衛本能に根差した帝国主義にあると見るかどうか、問題はロシア本質論に及ぶ。
しかし、
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