花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授
在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
ロシアの戦略を核保有検討国が注視するこれだけの理由
これに欧州各国の思惑が絡む。主戦論の、ポーランド、バルト3国等は、この際ロシアを弱体化させなければ明日は我が身だ、程々で矛を収めるなどとんでもないという。これに対し、早期停戦論のフランス、ドイツ、イタリア等は、国内におけるインフレの高まりへの不満もさることながら、ロシアを追い詰めれば核のボタンに手をかけかねない、それだけは避けなければならないという。
確かに、ロシアを追い詰めるのは危険だ。窮鼠猫を噛む、のたとえにある通り、ロシアが「存在の危機」に晒されていると思えば、破滅よりは核攻撃を選ぶかもしれない。鼠を袋小路に追い詰めることは、場合によっては第3次世界大戦の火ぶたを切りかねない。
主戦論者は、ロシアに核のオプションはないだろうという。ロシアの本質は、あくなき自己防衛だ。常に外敵の侵略に怯え過剰なまでに防衛しようと身構える。だから少しでも領土を広げておきたいとのロシア帝国主義が生まれる。
ロシア帝国主義は、防衛本能から出ているから、ロシアが、自らが破滅するかもしれない危険を冒してまで核のボタンを押すことはないだろう、とする。ロシアの本質が、防衛本能に根差した帝国主義にあると見るかどうか、問題はロシア本質論に及ぶ。
しかし、
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