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公明党の候補者リクルート事情と選挙戦略の現在~創価学会の支援の決め方は

「政党」としての公明党~一学究の徒の政治学研究【9】

岡野裕元 一般財団法人行政管理研究センター研究員

 「論座」では「『政党』としての公明党~一学究の徒の政治学研究」を連載しています。1999年に自民党と連立を組んで以来、民主党政権の期間をのぞいてずっと与党だったこの党はどういう政党なのか、実証的に研究します。9回目は、組織政党である公明党の選挙候補者のリクルートについて論じます。(論座編集部)
◇連載「『政党』としての公明党~一学究の徒の政治学研究」は「こちら」からお読みいただけます。

拡大参院選で第一声をあげる公明党の山口那津男代表=2022年6月22日、横浜市

 政党も民間組織、公務組織と同様に人の集まりである以上、議員、党職員、党員の人的資源によっても、その消長が決まる。本連載ではこの数回、議員政党である自民党と立憲民主党について、選挙候補者のリクルートの実態を検討した。今回は連載の柱である公明党のリクルートについて検証する。

 言うまでもなく、公明党は組織政党である。一見したところ、前述の議員政党2党と比べると、候補者のリクルートは安定しているようにも思われる。

 議員政党の場合、党勢次第で大量の「選挙に出たい人」が集まりがちだ。党内のガバナンスの点から、大勢の新人議員、その背後にいる候補者予備群をどう教育するかは、政党にとって重要な意味を持つ。

 翻って組織政党の公明党はどうか。「選挙に出たい人」が群がる議員政党とは様相が異なるものの、そこに組織政党ならではの問題や課題はないのか。公明党の候補者リクルートを扱う高木陽介・衆議院議員(選挙対策委員長・東京都本部代表)へのインタビューをもとに考察を深めたい(2022年5月26日インタビュー(筆者取材)、以下同様)。

「出したい人」を探し出す

 そもそも、公明党内の候補者の選定基準はどうなっているのか。高木選対委員長は答える。

 公明党内では、国政、地方議会選挙とも、具体的な候補者の選定基準はありません。ただ、結党以来、「出たい人」より「出したい人」を選んでいるということはあります。

 公明党の結党理念である、「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」(通称、「大衆とともに」)という精神を持ってやろうと。今日では、大衆や庶民という言い方はあまりしないかもしれませんが、一般の市民感覚がわかる人というのは、とても重要なことです。

 一方、国政などでは課題が多角化しています。ですので、専門性を持った人も選んでいます。オールマイティーであるんだけれども、そのなかで一つ二つと経験を積みながら、その分野でエキスパートになっているということでも選んでいます。一概には「これだ」というのはないんですが、そういったものを意識しながら、各候補者選考を行っています。

候補者リクルートの具体的方法

 では、国政、地方議会選挙の候補者をどのように探し出しているのか。高木選対委員長は言う。

 大まかな流れとしては、国政選挙、地方議会選挙ともに、都道府県本部単位で候補者選考委員会を作り、党本部に上げてきます。うちの場合は組織政党として各都道府県本部のもとに各総支部、各支部があります。支部長は、約3000人近い各議員がなっています。45万人(2021年現在)の党員は日常活動を行っており、様々な党活動を通じながら、適格な人、人物の適正を見極めながら、地域で「この人は!」、「次の選挙でバトンタッチするときにはこの人がいいんじゃないか」とか、そういうなかで選考しているのが現実です。

 公明党では外部向けの公募だけでなく、党内公募も行っていない。理由は、「出たい人」よりも「出したい人」で選考を行っているからである。「各政党も公募で人選していますが、公募での選考過程で適性があるのかを見極めるのは、なかなか大変だと思います。それよりは、日常の党活動を通じながら、『あの人は今こういう職業だけれども、こういう活動をしているね』というのが見えた上で、お声がけをするというのがパターンです」(高木選対委員長)。

 公明党の議員教育について、既に第5回「組織政党の公明党と日本共産党は議員教育でどのように創意工夫しているのか?」で扱ったが、候補者のリクルート後、選挙前までにどのような研修を実施しているのだろうか。高木選対委員長が内実を明らかにする。

 候補者のリクルート後、選挙前までに、都道府県本部ごとに研修会などを数次にわたって行っています。選挙に臨むわけですから、公職選挙法の様々な課題、選挙の運動のあり方、選挙運動と政治活動の違いなどをやります。選挙活動を始めると様々な相談事を受けたりしますので、市民相談のあり方も扱います。また、新人候補は先輩議員と一緒になって動いたりしますので、市民相談で受けた課題を解決するための適切な行政とのつなぎ方も学びます。様々な角度からの研修会も行っています。

 議員候補者は、能力的にも立候補以前に様々な分野でがんばってきた人たちですから、研修会で身につければ、当選して即戦力として動ける人でもあります。当選後の議員研修も含めると、他党と比較して緻密にやっていると自負しています。

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筆者

岡野裕元

岡野裕元(おかの・ひろもと) 一般財団法人行政管理研究センター研究員

1989年千葉県佐倉市出身。学習院大学法学部卒業。学習院大学大学院政治学研究科政治学専攻博士後期課程修了、博士(政治学)。現在、一般財団法人行政管理研究センター研究員のほか、報道番組の司会者の政治アドバイザーも務める。元青山学院大学文学部・学習院大学法学部非常勤講師。専門は、地方政治、政治学。著書に、『都道府県議会選挙の研究』(成文堂)、『官邸主導と自民党政治――小泉政権の史的検証』(共著、吉田書店)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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