若手の活用、オンライン文化、地方との協働……日本維新の会の四つの特徴
「政党」としての公明党~一学究の徒の政治学研究【11】
岡野裕元 一般財団法人行政管理研究センター研究員
「論座」では「『政党』としての公明党~一学究の徒の政治学研究」を連載しています。1999年に自民党と連立を組んで以来、民主党政権の期間をのぞいてずっと与党だったこの党はどういう政党なのか、実証的に研究します。11回目は、公明党と似通った点が少なくない日本維新の会の党組織について論じます。(論座編集部)
◇連載「『政党』としての公明党~一学究の徒の政治学研究」は「こちら」からお読みいただけます。

参院選の情勢を見守る日本維新の会の吉村洋文副代表(右)と松井一郎代表=2022年7月10日、大阪市北区
前回(第10回)の「実は公明党と似ている日本維新の会。どういう政党か~参院選で躍進。今後は……」に引き続き、日本維新の会について論じる。(維新に馴染みがない方はまず、第10回をお読みいただければ幸いです)。
国政政党としての維新は、以下のように変遷している。すなわち、日本維新の会(2012年9月)、維新の党(2014年8月)、おおさか維新の会(2015年11月)、日本維新の会(2016年8月)である(塩田潮『解剖 日本維新の会 大阪発「新型政党」の軌跡』平凡社、2021年、p.260)。一方、地域政党の大阪維新の会(2010年4月)は、そのままである。
国政の維新については、離合集散が続いたこともあり、学術的に政党組織研究の蓄積が不十分である。そこで日本維新の会の藤田文武・幹事長(衆議院議員)に、党組織の実態について詳細にお聞きした(2022年7月13日に筆者が取材・インタビュー)。
若手に挑戦の機会を与える
維新の党組織の特徴としては、(1)若手活用の党内文化、(2)オンライン利活用の政策決定、(3)党内議論の公開、(4)地方議員も交えた意思決定――の4点を抽出することができる。公明党と大きく異なるのは(3)である。(2)(4)は細かい差異があるが、共通点も見られる。(1)については、比較できるだけの材料を十分持ち合わせていないので、判断を留保する。以下、順に見ていこう。
まず、若手活用の党内文化について、藤田幹事長は、次のような認識を示す。
松井一郎代表や馬場伸幸共同代表は「若手をどんどん使ったれ」と常々おっしゃいます。基本的にトップがそういう方針なので、例えば予算委員会でも、期数の上のベテラン議員である浦野靖人さんや井上英孝さんなんかは、「いいよいいよ、やれやれ!テレビに映るところに新人使ったれ!」みたいな感じで、どんどん若手をチャレンジさせて切磋琢磨させようという風土があります。これは、他党ではほとんどできないことですね。
松井さんも馬場さんも、「ほんまに仕事をがんばっているやつに日の目を見させてやれ」といつも言っていて、役職にかかわったり目立つことばかりをやりたがる人よりも、雑務やリサーチ、党務や各選挙の手伝いとか、地味だけど必要なことを着実にやっているメンバーにどんどん光を当ててやれ、という考え方です。僕自身もたくさんチャンスをもらってチャレンジさせてもらった立場なので、同年代や期数の若いメンバーもできるだけ前に出して、切磋琢磨できる環境を作れるように心掛けてきました。テレビに映る予算委員会や本会議、様々な討論会にも1期生議員にどんどんチャレンジしてもらいました。
若手にチャレンジの機会を積極的に与える党内文化は醸成されているようだ。

会見する日本維新の会の藤田文武幹事長=2022年5月18日、国会
>>>この論考の関連記事