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新型コロナで保健所の「入院調整」問題はなぜ生じたのか?~上昌広氏に聞く

コロナ対策徹底批判【第五部】~上昌広・医療ガバナンス研究所理事長インタビュー㉑

佐藤章 ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

保健所のパンクを招いた本当のワケ

――たとえばJCHO病院をすべてコロナ専門にして、保健所が入院調整なんかしなくても、普通のお医者さんが診断し、近くのJCHO病院にストレートに入院させる。これが本来の形であり、法的にもそう想定されていたわけですよね。

 そうです。

――そうすれば、目詰まりもないですよね。

 その通りです。反対に、ベッドが足りなければ絶対に目詰まりする。それなのに、法に基づいて保健所が入院調整しなければいけないようにしたので、保健所はパンクして、目詰まりという結果だけが残ってしまった。

 実は、私の知人が個人的にちょっと病院を探し、私も協力した。そうしたら、「患者が勝手に病院を見つけてたらおかしいじゃないか」とクレームをつける保健所があったんです。「何でそんなところから勝手に入るんだ」と。

 病院の方は、保健所からこう言われるのがすごくイヤなんですね。というのは、入院させる方の病院側は、保健所を通さないと報酬が入らない可能性が出てくるんです。コロナの場合は、保険診療ではなくて国の方からもらう形になるので、保健所を通していないと、手続きで意地悪される恐れがあるんですね。

 もう医療の問題じゃないんです。病院にすれば、すごくお金がかかるので持ち出しはイヤ。だから、保健所が絡まないと進まない構造になっている。だけど、これは厚労大臣が「どこでもいいから入院させてください。お金は払いますから」と、オーバーライドして言えばすむ話なんです。

拡大会議室を利用して自宅療養者らの電話対応に追われる応援職員ら=2022年7月28日、静岡市葵区城東町の市保健所

入院調整問題をクリアするために必要だったこと

――そこは政治の問題ですよね。

 はい、そうなんです。法律的には、感染症法で保健所を介して指定病院に入院させることになっています。加えて民間病院も通知などで増やしている。だから、保健所を介して診断して、保健所を介して調整することになってるんですね。

――感染症法上はそうなっていますが、コロナ・パンデミックという新しい現実は、それを乗り越えてしまったわけですよね。この新しい現実に対して、法的にはどう対処すればよかったのでしょうか。

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筆者

佐藤章

佐藤章(さとう・あきら) ジャーナリスト 元朝日新聞記者 五月書房新社編集委員会委員長

ジャーナリスト学校主任研究員を最後に朝日新聞社を退職。朝日新聞社では、東京・大阪経済部、AERA編集部、週刊朝日編集部など。退職後、慶應義塾大学非常勤講師(ジャーナリズム専攻)、五月書房新社取締役・編集委員会委員長。最近著に『職業政治家 小沢一郎』(朝日新聞出版)。その他の著書に『ドキュメント金融破綻』(岩波書店)、『関西国際空港』(中公新書)、『ドストエフスキーの黙示録』(朝日新聞社)など多数。共著に『新聞と戦争』(朝日新聞社)、『圧倒的! リベラリズム宣言』(五月書房新社)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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