花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授
在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
支持率下落の先に見えるもの
世論調査で、内閣改造後の支持率が下落している(支持率は読売が51%と前回調査より6ポイント下落、NHKが46%で13ポイント下落。これに対し、共同通信は54.1%で3.1ポイント上昇)。内閣改造で普通、支持率は上がるものだ。逆に下がるというのは異例だ。その大きな要因が旧統一協会を巡る問題とされる。
当初、岸田首相は、内閣改造でこの問題に終止符を打てると考えていた。改造前の内閣で、旧統一教会との関係が指摘された閣僚は19人中8人だった。これらを交代させ、新たに「関係のない」クリーンな人材で組閣すればいい。岸田首相は、「当該団体の関係をしっかりそれぞれ点検してもらい、結果を明らかにしてもらう」と発言、入閣候補者それぞれの責任で関係を明らかにするよう指示し、また、「首相は、関係を点検し見直すことを厳命し、それを了承したもののみを任命する」と述べ、首相としては、それ以上の責任はないとした。
しかし、結果は、旧統一教会との関係が疑われる閣僚が任命後次々と現れ、ついに19人中7人に達した。これに党の政調会長にまわった萩生田氏を加えれば8人だ。更に、副大臣、政務官レベルでも54人中18人が何らかの関係があるとされる。気になるのは、いずれも任命された後に関係を公表していることで、これでは首相の「厳命」は何だったのかと思わざるを得ない。要するに、「厳命」はしたものの「守られることはなかった」ということだ。だからといって、岸田首相がこれを表立って問題視するようでもない。
政権や自民党内には、今後、旧統一教会とかかわりを持たないようにすればそれでいい、との空気が広がっているようだが、もしそうだとすればそれは看過できることではない。