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岸田首相は「反日カルト」と決別し、統一教会への日本からの資金の流れを解明せよ

国葬儀を実施する正当性はもう失われた

郷原信郎 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士

国葬儀決定と内閣改造という二つの過ち

 安倍元首相殺害事件から1か月余が経過した。

 殺害事件に端を発した旧統一教会の反社会的活動や自民党を中心とする政治家との関係性に関する批判は、連日、マスコミでも大きく取り上げられ、大きな社会問題になっている。

 岸田文雄首相は、大幅な内閣支持率の低下に狼狽したのか、当初、9月だと言われていた参院選後の内閣改造・党役員人事を、急遽前倒しして8月10日に行ったが、改造内閣発足直後から、新閣僚や副大臣、政務官の統一教会との関わりが次々と明らかになっている。

 経済再生担当大臣に留任した山際大志郎氏が、組閣後の記者会見で統一教会との関係を岸田首相に報告せず、組閣に臨んでいたことが明らかになって批判に晒されるなど、統一教会との関係の説明に関する「不誠実な態度」が問題にされる議員も少なくない。政府、自民党にとって、「統一教会問題」は一向に収まる兆しは見えず、一方、岸田内閣が、閣議決定した「安倍元首相国葬」に対しても、安倍氏自身が統一教会への関与の中心だったことが明らかになったこともあって、世論調査では反対が賛成を大きく上回っている。

安倍晋三元首相の「国葬」の閣議決定に反対し、首相官邸前で開かれた集会=2022年7月22日、東京都千代田区永田町拡大安倍晋三元首相の「国葬」の閣議決定に反対し、首相官邸前で開かれた集会=2022年7月22日、東京都千代田区永田町

 こうした中、岸田首相は、8月16日から22日まで、家族とともに休暇をとるということで、「1年半ぶりのゴルフ」を楽しむ様子がテレビで報じられていた。

 昨年10月に、総理大臣に就任した岸田首相は、自らも「聞く力」を強調しているように、自らの考えによる決断をあまり行わず、行っても他人の意見を聞いて修正するという柔軟な対応を行うことに特色があった。それが、それまでの安倍、菅政権と比較して、「批判」「反発」を受けず、高い支持率を維持することにつながってきた。

 首相就任直後の昨年10月の総選挙で、野党側の「自滅」もあって、議席減を最小限にとどめ、その後も、首相としての決断と実行を求められる局面が、それ程多くなかったため、これまで、概ね「流れに委ねること」でやってこられた。

 しかし、安倍元首相殺害事件で、政権や自民党をめぐる政治情勢は激変した。

 ここで、岸田首相は、自ら二つの「決断と実行」を行った。一つが、殺害事件後間もなく、安倍元首相の「国葬儀」を閣議決定したこと、もう一つが、統一教会問題での閣僚や自民党への批判の高まりを受けて、9月と予想されていた内閣改造を、急遽前倒しして、新内閣を発足させたことだ。

 しかし、この二つの決断は、いずれも最悪だった。それによって、岸田内閣は、重大な危機に瀕することになりかねない。

 「統一教会問題」については、マスコミの報道が過熱、それによって世の中の関心が高まり、視聴率がとれるので、テレビで取り上げられ、関心が一層高まるという、自民党にとって「負のスパイラル」に入っており、9月27日の安倍氏の国葬に向けて、自民党や党所属議員に対する批判はとどまるとは思えない。当初はネット署名から始まった「国葬反対」の声も、街頭デモも行われるなど、一層高まっていくことは必至だ。

 こうした状況において、「安倍支持者」「現政権支持者」の側から、統一教会と政治との関係を問題にすることへの批判として主張されるのが、「犯人の思う壺」論だ。

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筆者

郷原信郎

郷原信郎(ごうはら・のぶお) 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士

1955年、島根県生まれ。東京大学理学部卒。東京地検特捜部、長崎地検次席検事、法務省法務総合研究所総括研究官などを経て、2006年に弁護士登録。08年、郷原総合コンプライアンス法律事務所開設。これまで、名城大学教授、関西大学客員教授、総務省顧問、日本郵政ガバナンス検証委員会委員長、総務省年金業務監視委員会委員長などを歴任。著書に『告発の正義』『検察の正義』(ちくま新書)、『「法令遵守」が日本を滅ぼす』(新潮新書)、『思考停止社会─「遵守」に蝕まれる日本』(講談社現代新書)など多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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