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剣が峰に立つ岸田文雄政権~旧統一教会問題巡り、甘い首相の危機認識

止まらない内閣支持率の低下。良質の自民党支持者が離れるリスクも

田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

 新型コロナウイルス感染による療養から復帰した岸田文雄首相が8月31日午前、首相官邸で記者会見した。そこで何を語るのか、久しぶりの“肉声”に少なからず期待したが、中身は療養から復帰した“挨拶”の域を出ず、新味に乏しいものになった。

 注目されたのは、自民党と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との癒着問題に断固とした対応を示すかどうかであった。しかし、首相からは結局、踏み込んだ発言はなかった。

拡大会見で旧統一教会問題や安倍晋三元首相の国葬について説明する岸田文雄首相=2022年8月31日午前11時1分、首相官邸

安倍元首相「国葬」批判の背後にあるもの

 岸田首相は会見で、旧統一教会の問題に対して懸念や疑念の声が上がっていることについて、党総裁として「率直におわび申し上げる」としたうえで、自民党所属の各議員に旧統一教会との関係性を点検して結果を公表すること、当該団体との関係を断つことを党の基本方針として徹底すること、社会的に問題が指摘される団体と関係を持つことがないよう党のコンプライアンスチェック体制を強化すること、の3点を先週、茂木敏充幹事長に指示したことを明らかにした。

 首相自らが旧統一教会との“絶縁宣言”をしたことは評価するものの、それで決着するほど甘いものではないだろう。それに、安倍元首相と教団との関係を検証する考えがあるかどうかをきかれると、「ご本人が亡くなられた今、十分に把握するには限界があるのではないか」と述べるにとどまってもいる。

 その安倍元首相を巡り、9月末に「国葬」をおこなうことに批判が高まっているが、岸田首相は会見でそうした批判について、「真摯(しんし)に受け止め、正面からお答えする責任がある」とし、「政権の初心に帰り、丁寧な説明に全力を尽くしてまいります」と述べた。また、国会の閉会中審査で「国葬」について説明し、質問を受けると言明した。

 しかし、元首相の「国葬」に対して世論の批判が強いのは、単に経費や規模の問題ではない。旧統一協会問題の深刻化こそが、国葬反対の世論の原動力なのだ。

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筆者

田中秀征

田中秀征(たなか・しゅうせい) 元経企庁長官 福山大学客員教授

1940年生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒。83年衆院選で自民党から当選。93年6月、自民党を離党し新党さきがけを結成、代表代行に。細川護熙政権で首相特別補佐、橋本龍太郎内閣で経企庁長官などを歴任。著書に『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20286、『自民党本流と保守本流――保守二党ふたたび』(講談社)、『保守再生の好機』(ロッキング・オン)ほか多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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