「国葬」閉会中審査 野党は「モリカケ」的追及の愚を繰り返すな
岸田内閣は、すでに倒壊へのカウントダウンが始まっている
郷原信郎 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士
国葬を取りやめ総辞職するしか収拾の道はない
【岸田首相の理由説明なき「統一教会との訣別」は、更なる大混乱を招く】でも述べたように、岸田政権は、それまで「聞く力」を強調し、「検討」ばかり重ねてきた岸田文雄首相が、安倍元首相殺害事件後に行った、前のめりの国葬の決定と「統一教会問題」払拭のための内閣改造前倒し、という2つの“決断と実行”によって重大な危機に直面することになった。
そして、内閣改造直後の「家族と一緒に楽しんだ休暇」と、その間と思われる「コロナ感染」により、久々となった、8月31日の官邸での記者会見でさらに墓穴を掘った。「統一教会」の何がどう問題なのかを全く示すことなく、「理由もない統一教会との訣別宣言」を行ったことで、今後、いまだに9月27日に実施予定となっている安倍元首相の国葬に向けて、そして、来春の統一地方選挙に向けて、党内の大混乱は必至である。
国葬に対する国民の反対意見は日を追うごとに増加し、「統一教会問題」での自民党議員へのワイドショー等での批判報道はとどまることを知らない。しかも、統一教会との関係を報告することなく経済財政担当大臣に留任した山際大志郎氏は、教団との親密な関係が次々と発覚して説明不能の状態に陥っており、その山際氏を「コロナ対策担当大臣」として閣内に抱えていることは岸田内閣にとって「爆弾」そのものである。
上記記事でも書いたように、この事態を収拾する手立ては、安倍元首相と統一教会との関係を理由に国葬を取り止めて、「統一教会問題」のケジメをつけるしかない。もちろん、それは、一旦行った閣議決定を、内閣の判断で取り消すのであるから、岸田内閣の総辞職につながることは言うまでもない。
つまり、岸田内閣は、すでに倒壊に向けてのカウントダウンが始まっているということだ。

国会前で安倍晋三元首相の国葬に反対する人たち=2022年8月31日、東京都千代田区
このような局面で、今週中に、岸田首相も出席して国会の閉会中審査が行われる。
ここで野党各党がどのような姿勢で臨むのか、どのような質問を行うのかは、「岸田内閣の帰趨」を左右するというより、岸田内閣倒壊後の政治の枠組みにおいて、どの党が、国民の信頼に値すると評価されるのかの「試金石」となる。
その中でも特に注目されるのが、民主党の流れを汲む、一応野党第一党の立憲民主党である。