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NPTとG20でのロシアの振る舞いは“妨害行為”でしかない

ロシアを国際社会から排除すべきこれだけの理由

登 誠一郎 社団法人 安保政策研究会理事、元内閣外政審議室長

会議当初から合意を拒否する腹積もりのロシア

 今回のNPTに関するロシアの対応については、筆者は当初より、ロシアに合意文書作成の意思はそもそもなかったと考えている。それはウクライナ侵略についてのロシアのまやかしの言動と全く同じであり、言うことと行うことが全く違うからである。

 ウクライナ侵略については、軍事行動を起こすか否かに始まり、民間人の拷問-虐殺、ドンバス2州の併合、原発攻撃の有無などことごとく偽りの発言を行って国際社会を欺いて来た。

拡大ウクライナ中南部のザポリージャ原発からメッセージを発する国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長=本人のツイッター投稿動画から.

 NPTについては、今年の1月初めにロシアを含む核保有5カ国共同声明として、「核戦争に勝者はなく、決してその戦争をしてはならない。我々はNPTに示された核軍縮交渉の義務を果たす」との宣言に名を連ね、さらにプーチンは8月のNPT会議開催に合わせてわざわざ、「ロシアは条約の精神の文言を遵守している。国際社会のすべてのメンバーに安全を保障する」との趣旨のメッセージを会議に送った。

 ロシアのウクライナ侵略もNPT会議に対する破壊行動も、事前には耳当たりの良いことを述べて目くらましをかけ、その後に突然の過激な行動により利己的な利益を追求する点において共通している。

 現在のロシアの最大の国家目的は、

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筆者

登 誠一郎

登 誠一郎(のぼる・せいいちろう) 社団法人 安保政策研究会理事、元内閣外政審議室長

兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、外務省入省(1965)、駐米公使(1990)、ロサンジェルス総領事(1994)、外務省中近東アフリカ局長(1996)、内閣外政審議室長(1998)、ジュネーブ軍縮大使(2000)、OECD大使(2002)を歴任後、2005年に退官。以後、インバウンド分野にて活動。日本政府観光局理事を経て、現在、日本コングレス・コンベンション・ビューロー副会長、安保政策研究会理事。外交問題および観光分野に関して、朝日新聞「私の視点」、毎日新聞「発言」その他複数のメディアに掲載された論評多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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