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漂流する岸田文雄政権 自民党の構造的凋落が始まった!?

内閣支持率が急落。与党体制の退潮に有効な歯止めは用意されずに

田中秀征 元経企庁長官 福山大学客員教授

沖縄県知事選敗北という手痛い打撃

 緊迫する安全保障環境や野党の足並みの乱れから、接戦になると見られていた沖縄県の知事選挙が9月11日に投開票された。結果は、野党勢力「オール沖縄」が推す現職の玉城デニー氏が、保守のエースと言われた前宜野湾市長の佐喜真淳氏(自民、公明推薦)に予想外の大差で圧勝した。

 今回の敗北は、安倍晋三元首相の国葬を半月後に控える岸田文雄政権、そして自民党にとって手痛い打撃になっている。

拡大沖縄県知事選で当選をはたし、花束を手に笑顔を見せる玉城デニー氏=2022年9月11日、那覇市

 佐喜真氏の敗因については、“第三の候補”として元郵政民営化担当大臣の下地幹郎氏が立候補したことや、自民党本部と県連の連携が乱れたことなどさまざまな指摘がされるが、やはり世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党との深い関係、そうした関係が発覚してからの自民党の甘い対応によるところが大きいと思われる。

 とりわけ、佐喜真氏自身が教団と親密な関係にあったと言われていたのは致命傷だっただろう。自民党の森山裕選挙対策委員長も、「現地では気にしている県民がおられたというのは間違いない」と述べ、教団問題が敗因のひとつだったという認識を示している。 

「黄金の3年間」が一転……

 7月に参院選を終え、これからは衆議院の解散・総選挙がなければ、本格的な国政選挙(衆院選、参院選)は2025年まで実施されることがない状況だ。だから、岸田政権にとって、今後の3年間は「黄金の3年間」になると言われてきた。

 とはいえ、政治とは不思議なもので、そうした安定するはずの時期に、内部の活性化が驚くほど進むことがしばしばあるのは、歴史が教えるところだ。

 今回の沖縄県知事選を皮切りに、今後、地方の首長選は波乱含みになるのではないか。さらに、来年春に控える統一地方選の結果しだいでは、地方政治の姿が大きく変わり、3年後の国政選挙を大きく揺さぶる可能性もある。

 それどころか、統一地方選の結果で来秋の自民党総裁選の様相が変わり、場合によっては、総裁の交代や衆議院の解散・総選挙を招来する可能性がでてくるかもしれない。

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筆者

田中秀征

田中秀征(たなか・しゅうせい) 元経企庁長官 福山大学客員教授

1940年生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒。83年衆院選で自民党から当選。93年6月、自民党を離党し新党さきがけを結成、代表代行に。細川護熙政権で首相特別補佐、橋本龍太郎内閣で経企庁長官などを歴任。著書に『平成史への証言 政治はなぜ劣化したのか』(朝日選書)https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=20286、『自民党本流と保守本流――保守二党ふたたび』(講談社)、『保守再生の好機』(ロッキング・オン)ほか多数。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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