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在韓日本人信者を「切ない」と感じて

日本人コミュニティと統一教会

伊東順子 フリーライター・翻訳業

 韓国MBC(文化放送)の看板報道番組である「PD手帳」が「宗教問題」を続けて取り上げている。8月30日には『安倍、銃撃犯と統一教(トンイルキョ、韓国では旧統一教会/世界平和統一家庭連合をこう呼ぶのが一般的)』、翌週の9月6日には『消えた子どもたちと秘密の王国』。後者はブラジルで集団農場などを運営する韓国系宗教団体に関するもので、かなり刺激的な内容だった。

 どちらも一般の韓国人にはあまり知られていなかったようで、最初の統一教に関する番組の放映直後には、フェイスブックやツイッターなどで「初めて知った」という書き込みが散見された。

 「自分は統一教系の高校を卒業したのだけど、ほとんど意識したことはなかった。宗教の授業もあったような気がするが、一生懸命聞いた記憶はないし……」等。

 すでに日本でも報じられているように、韓国で統一教のポジションは企業や学校などを運営する財団という印象が強く、宗教活動のほうはあまり目立たない。専門家の中には以前からその「目に見えない浸透」を警戒する声もあったが、一般の韓国人にとっては現在日本発で報じられている内容の多くは「寝耳に水」。

 もちろん日本でも、霊感商法や合同結婚式が問題になった90年代以降が「空白の30年」と言われたように、メディアも一般国民もノーマークの時期が長かった。


筆者

伊東順子

伊東順子(いとう・じゅんこ) フリーライター・翻訳業

愛知県豊橋市生まれ。1990年に渡韓。著書に『韓国カルチャー──隣人の素顔と現在』(集英社新書)、『韓国 現地からの報告──セウォル号事件から文在寅政権まで』(ちくま新書)など、訳書に『搾取都市、ソウル──韓国最底辺住宅街の人びと』(イ・ヘミ著、筑摩書房)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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