日本人コミュニティと統一教会
2022年09月20日
韓国MBC(文化放送)の看板報道番組である「PD手帳」が「宗教問題」を続けて取り上げている。8月30日には『安倍、銃撃犯と統一教(トンイルキョ、韓国では旧統一教会/世界平和統一家庭連合をこう呼ぶのが一般的)』、翌週の9月6日には『消えた子どもたちと秘密の王国』。後者はブラジルで集団農場などを運営する韓国系宗教団体に関するもので、かなり刺激的な内容だった。
どちらも一般の韓国人にはあまり知られていなかったようで、最初の統一教に関する番組の放映直後には、フェイスブックやツイッターなどで「初めて知った」という書き込みが散見された。
「自分は統一教系の高校を卒業したのだけど、ほとんど意識したことはなかった。宗教の授業もあったような気がするが、一生懸命聞いた記憶はないし……」等。
すでに日本でも報じられているように、韓国で統一教のポジションは企業や学校などを運営する財団という印象が強く、宗教活動のほうはあまり目立たない。専門家の中には以前からその「目に見えない浸透」を警戒する声もあったが、一般の韓国人にとっては現在日本発で報じられている内容の多くは「寝耳に水」。
もちろん日本でも、霊感商法や合同結婚式が問題になった90年代以降が「空白の30年」と言われたように、メディアも一般国民もノーマークの時期が長かった。
MBCの番組に対し、統一教側は8月31日に抗議集会を行った。場所はMBC本社前で、最寄り駅は空港鉄道のデジタルメディアシティ駅である。ちょうど空港に行く予定があったので、早めに出て寄ってみることにした。
駅を出たら、早速、日本語が聞こえてきた。4人連れの女性。年代は40~50代だろうか。そうしてあたりを見渡せば、あそこにも、ここにも、一目で日本人とわかる女性たちがいる。なぜ日本人とわかるんだろう?
「服装が地味だから?」
「それ、わかる気がする」
後で在韓の友人とそんな話をした。
集会の様子は日本でも報道されたというから割愛するが、個人的には30年前にソウルの蚕室スタジアムで見た合同結婚式を思い出した。あの時は日本から芸能人も来るからと、友人たちと物見遊山で見に行った。
入り口で紅白饅頭のようなものをもらい、スタジアムの観客席から合同結婚式を眺めた。周囲には新郎新婦の家族親族もいて、結婚式が終わるとグラウンドから上がってきた二人を迎えて、持参の食事でそれぞれ「披露宴」のようなことをしていた。親族の中には晴れ着(チマチョゴリ)姿の人もいて、「なるほど、家族にとっては、これもやはり結婚式なんだな」と妙に納得もしたのだが、気になったのは近くにいた家族の中で、一人ポツンと座っていた新郎だった。
「あれは、たぶん韓国語がわからないんだよ」
新婦の親族だけが盛り上がっている中で、何も喋らずにニコニコしていた青年。直感的に
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