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イタリアに誕生する極右政権は欧州の波乱要因となるのか

メローニ党首の三つの顔とイタリア経済

花田吉隆 元防衛大学校教授

 よりにもよって、この未曾有の危機のさなかに極右政権か――世界中の誰もがそう思う。ロシアとの戦争の真只中にある欧州に、今、最も必要とされるのが結束だ。

 欧州は、一致団結するからこそロシアに対抗できる。対ウクライナ武器供与も、この冬に一番の山場を迎えるエネルギー危機も、更には、かつてないレベルに達した物価高も、全て、欧州が一丸となって脅威に立ち向かえばこそ何とか打ち勝つこともできようというもの。その結束が乱れてしまえば、どうなるのか。まさにその乱れを、プーチン大統領は狙っている。今や、「爆弾」と化した天然ガス供給の蛇口を閉めあげることで、欧州が物価高に喘ぎ、分断し、ついには白旗を上げることを。

極右政党「イタリアの同胞」が総選挙で第1党に

 9月25日、イタリア総選挙が行われ、極右政党「イタリアの同胞」(FDI)が上下両院で第1党に躍進、同党中心の右派連合が議席の過半数を占めることになった。「イタリアの同胞」は、創立10年の若い政党。前回2018年の総選挙でわずか4%の得票率しかなかった。それがこの4年で一気に26.01%まで伸ばした。代わって、もう一つの極右政党「同盟」は17.61%から8.85%に後退、極右支持票が「同盟」から「イタリアの同胞」に流れた。2018年当時32.21%を獲得し第1党となった「五つ星運動」も、今回は15.55%と大きく票を減らした。

拡大イタリア総選挙の投票所となった学校の入り口の前に並ぶ有権者。朝から続々と人々が投票に訪れた=2022年9月25日午前、ローマ

 「イタリアの同胞」が「同盟」のお株を奪い第一党に躍進したのは、この4年間、主要政党として唯一野党の座にあったからだ。国民は、今、未曾有の物価高に苦しむ。8月は物価上昇率が8%を超えた。もはやこれまでの政権与党ではだめだ、どれだけ政権担当能力があるかわからないが、「イタリアの同胞」にやらせてみるしかない、と多くの国民が考えた。「色々試してみた。極右(「同盟」)もコメディアン(「五つ星運動」の創設者)も、優秀とされたテクノクラート(マリオ・ドラギ前首相)も。どれも駄目なら、『イタリアの同胞』しかない」という。

 その「イタリアの同胞」を率いるのが45才の女性リーダー、ジョルジャ・メローニ氏だ。2008年、シルビオ・ベルルスコーニ内閣で最年少の若者担当相を務めたが、それ以外行政経験はない。果たしてこの難局を乗り切っていけるのか。

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筆者

花田吉隆

花田吉隆(はなだ・よしたか) 元防衛大学校教授

在東ティモール特命全権大使、防衛大学校教授等を経て、早稲田大学非常勤講師。著書に「東ティモールの成功と国造りの課題」等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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