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ポスト西洋近代の大変動期に入った世界 対立軸は「グローバリズム対土着」

戦後日本の問題を示した安倍元首相国葬 岸田政権失速で権力闘争が始まった自民党は…

福島伸享 衆議院議員

 令和の政治が抱える課題とそれへの対応を福島伸享(のぶゆき)衆院議員が考える連載「福島伸享の『令和の政治改革』」。6回目のテーマは、安倍晋三元首相の国葬や世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題などで大揺れの日本政治の現状と今後の展開です。支持率が低迷する岸田文雄政権と旧統一教会問題に振り回される自民党の行方、臨時国会での野党の構え、世界が歴史的な転換点にある今、政治に何が求められているか……。令和の政治改革を追い求める福島さんが語ります。(聞き手・構成/論座・吉田貴文)
※連載「福島伸享の『令和の政治改革』」の1~5回は「こちら」からお読みいただけます。

拡大福島伸享さん=議員会館

――岸田文雄政権が失速しています。世論調査では内閣支持率が軒並み低迷し、求心力の低下は否めません。官邸は“起死回生”に躍起ですが、先は見通せません。7月の参院選で自民党が勝利を収め、政権は「黄金の3年間」を迎えるなどと言われたのが噓のように、安倍晋三元首相の国葬を巡る世論の分断や、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題に見舞われ、政権のみならず自民党も大揺れです。

国家意識の希薄が浮き彫りになった安倍元首相の国葬

福島 安倍元首相の国葬は戦後日本が抱える幾つかの問題をあらわにしたと感じています。まず、戦後の日本の国家意識の希薄さが浮き彫りになりました。戦争に負けた後、国とはいったい何かを考えない、あるいは考えることから逃げ続けてきたツケが回ったかたちです。

――どういうことでしょうか?

福島 今回、国葬に反対した人の理由は、かなり乱暴に分けると、大きく二つありました。一つは、国葬が思想信条の自由を侵害する憲法違反だということです。左派に属する人たちが主張していますが、私は実際に行われた国葬を見てみればこの主張は的外れだと考えています。

 そもそも、国葬の日に半旗を掲げているところは、公共の施設でもほとんどありませんでしたし、葬儀が行われた武道館の周辺にこそ人がいっぱいいましたが、他の場所では弔意を表すような空気はほとんど感じられませんでした。この主張は極めてイデオロギー的で、多くの国民の共感は得ていないと思います。

 もう一つの理由は、「安倍元首相が嫌い」ということです。安倍元首相を好きな人は怒るかもしれませんが、安倍元首相を国葬で送ることが単純に嫌だというのが本音です。

 逆に国葬に賛成する人の理由は、「安倍さんが好き」ということに他なりません。国葬を巡る対立が、安倍元首相に対する好悪でいいのか。ことの本質はそこですかと、私は言いたいのです。

 国が葬儀をするからには、送られるのは国を代表する人のはずです。確かに安倍氏は首相をつとめ、在任期間は史上最長かもしれません。でも、首相は国民の付託を受けて政府を運営する責任者ではありますが、政府はあくまでも立法、司法を並ぶ三権のひとつにすぎないのであって、国そのものではない。首相だからといって即、国を代表する人というわけではありません。

 それでは、安倍元首相は国の葬儀に見合うだけの業績をあげたのか。国葬を行うからには、その人が国に対して何をしたかが、評価の基準であるはずです。国葬に値する業績としては、国の独立を守った、他国の侵略を防いだ、国の崩壊を止めた、革命で新しい政体を樹立した、などが考えられますが、安倍元首相の場合はどうでしょうか。

 安倍元首相の仕事として、平和安全法制やアベノミクスなどが挙げられますが、どれも政府の仕事の枠内で行われたことにとどまり、国の根幹にかかわるものではありません。にもかかわらず、国葬という発想が出る時点で、自民党や安倍元首相が好きな人たちは、実は国という概念があまりない、極めて戦後的な人たちなんだろうと思わずにはいられません。

拡大安倍晋三元首相の国葬で追悼の辞を述べる岸田文雄首相=2022年9月27日、東京都千代田区の日本武道館

エリザベス女王の国葬との違い

――国による葬儀を出すこと、国が弔うことの意味が、日本人には分かっていないと。

福島 たまたま時期が重なったエリザベス女王の国葬と比べてみてください。亡き女王の冠を棺の上に置いて埋葬し、その後を皇太子が継ぐという過程を、目に見えるかたちで荘厳に示したあの葬儀は、イギリスという国が、王室を中心に歴史を紡ぐ国であることを、国の内外に明らかにしました。国民はイギリスという国の根幹を見送ったのです。

 一方、安倍元首相の国葬で国民は「何」を見送ったのでしょうか。安倍元首相を見送ったのは確かですが、その死を受けて、国の何が継承されるのか、あるいは何が新しくなるのかといった国の根幹にかかわるものは、あのいかにもお役所的な葬儀からは何も見えませんでした。「国葬」といいながら、国家意識なき国葬と言ってもいい。国について正面から考えてこなかった戦後の日本のあり方を象徴しています。

――逆説的に言えば、極めて日本的な国葬だったと。

福島 そうです。もっと言えば、極めて日本的というのは、別の観点からも言えます。

――別の観点ですか?

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筆者

福島伸享

福島伸享(ふくしま・のぶゆき) 衆議院議員

1970年生まれ。1995年東京大学農学部を卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省。橋本龍太郎政権での行政改革や小泉政権での構造改革特区制度の創設の携わる。2009年衆議院議員初当選(民主党)の後、2021年の衆議院議員選挙で3選。現在無所属で5人会派「有志の会」に所属。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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