小池晃書記局長のパワハラ問題で共産党は変わるか?~党首公選は絶好の機会
現場の感覚が党中央を動かした日本共産党で初めての事件をどういかすか……
松竹伸幸 編集者・ジャーナリスト
共産党に党首公選の実施を求め、実施されれば立候補するということを表明している松竹伸幸さんの連載「共産党を変える!党員・松竹伸幸の挑戦」の第2回です。第1回「私、共産党の党首選に出ます!~『自衛隊活用論』を唱えてきたヒラ党員の覚悟」に引き続き、党首公選の意義について、議論を深めています。あわせてお読みください。(論座編集部)

小池晃・共産党書記局長のパワハラについて会見で説明する志位和夫委員長=2022年11月14日、国会内
共産党の組織のあり方と結びつく問題
11月の日本共産党は、小池晃書記局長の田村智子政策委員長に対するパワハラ問題で揺れに揺れた。11月5日に開かれた共産党の「全国地方議員・候補者会議」の場で起きた問題である。
メディアでかなり報道もされたし、指摘の多くを共産党も認めているので、事実関係について私がここで改めて取り上げるような点はない。本稿で述べたいのは、この問題は共産党の組織のあり方と深く結びついており、党の改革につなげなければならない性格を持つということである。
警告処分が公表された会見(14日)で小池氏は、記者から共産党の体質の問題ではないかと問われたのに対し、「共産党の体質ではなく、私自身の重大な弱点」として、あくまで自分個人の問題だと強調した。しかし、パワハラ告発の主体となった地方議員のSNSなどへの投稿を見ると、党そのもののあり方を問いかけるものも目立っている。
実際、今回の問題は、共産党に党首公選を求め、実施されれば立候補すると表明している私の主張につながることでもあるので、そのような観点から捉えてみたい。
党の中央にとっては日常の風景
今回の問題で地方議員の多くが衝撃を受けたのは、小池氏の強い口調による叱責(しっせき)そのものであろう。ふだんはにこやかな印象のある小池氏だけに、叱責の現場を目の当たりにして、小池氏でさえ党中央ではこんな振る舞いをするのかと驚いたわけである。
しかし、私が驚いたのは、別のことだ。それは、党の中央と現場の感覚に大きな乖離(かいり)がある現実であり、これこそが今回の問題を通じて露呈した最大の問題ではなかろうか。
会議後、地方議員からの批判は瞬く間に広がっていった。しかし、党中央はしばらくの間、それに対応しようとしなかった。
小池氏も、記者会見やツイッターなどで発言する機会はいくらでもあったけれど、黙り込んでいた。パワハラを受けた当事者である田村氏は当日(5日)、なんと自身が「ごめんなさい」と謝ったのだが、後日(18日)の記者会見で明らかにされたように、「叱責されたとか、パワーハラスメントを受けたという認識を全く持っていなかった」と振り返っている。
志位氏も同時進行で動画を見ていたそうだが(5日)、定例日の7日に開かれた常任幹部会でこれを議題にするような指示はしなかった。14日の常任幹部会でようやく処分を決めたという経過である。
要するに、1週間以上の間、党中央では、パワハラをした本人も、被害を受けた当事者も、それを眺めていた人も、誰もこれを正すべき問題だと捉えていなかったということである。残念なことではあるが、地方議員を驚かせたことが、党中央の日常の風景になっているという現実の反映である。そうとしか説明のしようがない。

緊急経済対策を発表する共産党の小池晃書記局長(右)と田村智子政策委員長=2022年11月10日、国会
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