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SNS社会が変える!? カネのかかる選挙と議員に必要なスペック

ネットの進展が促す新しい政治~樫野孝人「政治変革はどこから始まる?」【2】  

樫野孝人 かもめ地域創生研究所理事 地域政党連絡協議会顧問

地域を走り回っていた議員たち

 ネットの進展で変わったのは選挙だけではない。それは、政治の「仕事面」にも明らかに影響を与えている。

 これまで、議員たちは市民の意見を聞くために、文字通り地域を走り回っていた。社会課題について知り、政策にいかすとともに、それが「顔」と「名前」を売ることになり、選挙にも効果があるので、まさに一石二鳥だった。

 市民の側にとっても、議会で何が話し合われているかを聞くことは、議員からしか得られない“特別な情報”であった。そこで、人によっては、それを少しでも早く入手するために秘書と仲良くし、手土産を持って議員事務所に日参したり、1枚2万円もするパーティ券を購入したりした。

 有権者と議員が密に情報をやりとりするためには、直接、話を聴ける程度の人口をカバーできるだけの議員数が必要となる。面積が広い地域では、行動半径を考慮して議員定数が設定されるのは理解できる話だ。

議員を介さずに情報を得られる

 それが、SNSの普及で一変した。

 知事や市長が有権者に直接、FacebookやTwitterで情報発信するようになり、一度に何万人、何十万人に自分の考えを伝えることができるようになった。

 例えば、橋下徹・元大阪府知事のように269万人ものTwitterのフォロワーがいれば、有権者は行政情報を地方議員から聞く必要はない。地方自治体のホームページを閲覧し、首長のSNSをフォローすれば充分だ。

 しかも、SNS上では、政策に関して丁々発止の意見交換、時にはバトルも繰り広げられている。専門分野のプロフェショナルが首長に対して直接意見をする場合もある。議員を介さず、政策に関する情報を得ることができるのだ。

 そうなると困るのが議員たちだ。

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筆者

樫野孝人

樫野孝人(かしの・たかひと) かもめ地域創生研究所理事 地域政党連絡協議会顧問

1963年生まれ。神戸大学経済学部卒業。㈱リクルートで人材開発部、キャンパスマガジン編集長を経て、福岡ドーム(現PayPayドーム)に出向、マイケルジャクソンなどのコンサートやプロ野球アジア太平洋カップ、シルクドソレイユ福岡公演などをプロデュース。2000年に㈱アイ・エム・ジェイの代表取締役社長に就任し株式上場。国内最大手のwebインテグレーション企業を経営。映画製作も手がけ、「NANA」「るろうに剣心」などのヒット映画も製作。広島県庁の広報総括監として「おしい!広島県!」、京都府庁参与として「もうひとつの京都」企画で、ショートショート・フィルムフェスティバル&アジアで観光映像大賞(観光庁長官賞)を2度受賞。 2009年、2013年と神戸市長選に挑戦するも惜敗。2014年地域政党神戸志民党を設立、2015年に兵庫県議会議員に当選したが1期4年で引退し、プロデュース側に転向。現在は、かもめ地域創生研究所理事、神戸志民党顧問、地域政党連絡協議会顧問、株式会社CAP代表取締役、県立広島大学客員教授。 著書に「おしい!広島県の作り方」「人口減少時代の都市ビジョン」「リクルートOBのすごいまちづくり」「仕事を楽しむ整える力」「公務員のための情報発信戦略」など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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